
国税庁より「令和7年分年末調整のしかた」(全64ページ、以下「パンフレット」という。)が公表されました。今年の年末調整には複数の変更点があります。
企業においては早めの確認と実務への備えが大切です。
パンフレットでは、「昨年と比べて変わった点」として、以下の3つが挙げられています。
改正項目1:所得税の基礎控除の見直し等
(1)基礎控除の見直し:合計所得金額に応じて基礎控除額が58万円~95万円に
(2)給与所得控除の見直し:最低保障額が65万円に
(3)特定親族特別控除の創設:所得者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族で合計所得金額が58万円超123万円以下の「特定親族」がいる場合、合計所得金額に応じて3万円~63万円を控除
(4)扶養親族等の所得要件の改正:同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額の要件が58万円以下に
改正項目2:年末残高調書を用いた方式(調書方式)による住宅借入金等特別控除
【参考】国税庁>住宅ローン控除の適用に係る手続(年末残高調書を用いた方式)について
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/jutaku/index.htm
【参考】国税庁>住宅ローン控除の適用に係る手続(年末残高調書を用いた方式)に関するよくある質問
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/jutaku/qa.htm
改正項目3:令和8年分以後の給与の源泉徴収事務における留意事項
(1)扶養控除等申告書の記載事項の変更
令和8 年分以後の扶養控除等申告書には、「源泉控除対象親族」(次の①又は②のいずれかに該当する人)を記載することとされました。
①控除対象扶養親族
②所得者と生計を一にする親族(里子を含み、配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます。)のうち年齢19 歳以上23 歳未満で合計所得金額が58 万円超100 万円以下の人
(2)扶養親族等の数の算定方法の変更
「特定親族特別控除の創設」に伴い、令和8 年分以後は、「源泉控除対象配偶者」及び「源泉控除対象親族」の数を基に扶養親族等の数を算定。
(3)源泉徴収税額表の改正
令和8 年1 月1 日以後に支払うべき給与については、「令和8 年分源泉徴収税額表」を使用して源泉徴収税額を求める。
※上記のほか、パンフレットの表紙には「通勤手当に係る非課税限度額の改正が行われる場合には、年末調整での対応が必要となることがあります」との注意書きもあり。
誤りのない年末調整のためには、制度への従業員の理解が不可欠です。
そのためにも、今回公表されたパンフレットや10月に公開予定の「年末調整がよくわかるページ」(国税庁)を確認し、改正点の周知に努めましょう。
ご不明な点などございましたらお気軽にお声掛けください。
【参考】国税庁>令和7年分年末調整のしかた
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2025/pdf/nencho_all.pdf