
厚生労働省は、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」と位置づけ、労働者の年次有給休暇取得を促進するための広報・啓発活動を展開しています。
年次有給休暇は働く人の心身の健康保持や生活の質の向上にとって重要な制度であり、働き方改革を推進するうえでも欠かせないものです。取得率は約65%にとどまっており、政府は2028年度までに70%の達成を目指しています。企業においては、促進期間を一つの機会として、取得率向上に向けた取組みが求められます。
年次有給休暇の年5日取得義務の確実な履行
労働基準法の改正により、2019年4月から使用者は年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対し、5日の年次有給休暇を取得させる義務を負っています(労働基準法第39条第7項)。
この義務は、雇用形態にかかわらず該当するすべての労働者が対象です。取得義務を果たしていない場合には、30万円以下の罰金が科されることもあるため、法令を遵守した確実な管理が求められます。
年次有給休暇の取得促進には、計画的な業務運営や休暇の分散化に役立つ「年休の計画的付与制度」や、働く人の事情に応じた柔軟な休み方を可能にする「時間単位年休」の活用も考えられます。
取得しやすい職場環境の整備を進める
取得を促進するためには、計画的付与制度の活用や繁忙期を避けた時期の調整、管理職への周知などが有効です。また、業務の割振りや職場内の雰囲気づくりといった面からも、取得しやすい環境を整備していく必要があります。
こうした取組みは、働く人の健康維持にとどまらず、モチベーションの向上や職場の定着率の改善にもつながるものと考えられます。
企業は、制度の趣旨を踏まえ、年次有給休暇の取得が円滑に進むような体制づくりを進めることが求められます。
年次有給休暇を含め休暇制度を見直したい、もっと広い範囲=労働時間管理そのものを整理したいなどございましたら、お気軽にお声掛けください。
【参考】厚生労働省>年次有給休暇取得促進特設サイト
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/