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独禁法上の問題につながるおそれのある荷主の行為

公正取引委員会では、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を継続的に行っています。

 

令和6年度の調査結果報告によると、現下の労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について協議をすることなく取引価格を据え置く行為等が疑われる事案に関して、荷主100名に対する立入調査を行ったとしています。

 

また、調査の結果を踏まえ、独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為を行った荷主(646名)に対して注意喚起文書を送付しています。

 

以下、問題につながるおそれのある行為として挙がった主な事例を紹介します。

 


不当な給付内容の変更およびやり直し

荷主(飲食料品卸売業)は、物流事業者に対し、定期便として発注した運送業務を集配送当日にキャンセルしたが、そのような突然のキャンセルに伴い物流事業者が負担した車両の手配に要した費用を支払わなかった。

 

代金の支払遅延

荷主(飲食料品小売業)は、物流事業者に対し、自社の事務処理が間に合わないことを理由に、あらかじめ定めた支払期日を超過して運賃を支払った。

 

買いたたき

注意喚起文書を送付した荷主の行為類型別内訳で、96件、割合12.9%。

具体的事例:荷主(機械器具卸売業)は、物流事業者から、それまで無償で提供させていた附帯業務の料金が上乗せされた見積書を受け取ったにもかかわらず、理由を一切説明することなく、運賃を一方的に据え置いた。

 

不当な経済上の利益の提供要請

荷主(その他の卸売業)は、物流事業者に対し、契約では、運送の委託しかしていないにもかかわらず、運送した荷物の荷卸し、検品及び棚入れを無償で行わせた。

 

代金の減額

荷主(物品賃貸業)は、物流事業者に対し、理由を一切説明することなく、あらかじめ定めた運賃を一方的に減額して支払った。

 

割引困難な手形の交付

荷主(機械器具卸売業)は、物流事業者に対し、運賃として手形期間150日の約束手形を交付した。

 

物の購入強制・役務の利用強制

荷主(家具・装備品製造業)は、物流事業者に対し、自社が開催する展示会における家具の運送等の委託をする際に、自社製品を購入させた。

 

 

これらの事例は、自社の取引や労務管理を改善するヒントなるでしょう。

少しでも気になることがございましたら、お気軽にお声掛けください。

 

 

【参考】公正取引委員会>(令和7年6月24日)令和6年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況について

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/jun/250624_buttokuchousakekka.html