
7月21日、オンラインジャーナル誌「Nature Human Behaviour」で、週4日勤務制の導入に伴い従業員のウェルビーイングがどう変化するか検証した論文が公表されました。
概要
実験は下記の条件で、6カ国(オーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、イギリス、アメリカ)の141組織(従業員計2,896人)を対象に行われたものです。
①制度導入前に業務の効率と協働性の向上を目的とした改革期間を設ける
②週4日勤務制を導入し6か月にわたって試行する
③賃金は週5日勤務時と同額を支払う
労働時間は平均で週5時間ほど減少しました。
また、対照となる企業12社と比較して、燃え尽き症候群ならびに心身の健康状態が改善し、職務満足度が向上する結果となりました。
週8時間の削減に成功した従業員がもっとも大きな改善が見られるなど、労働時間の削減はウェルビーイングとの相関性が認められ、特に個人単位の削減が効果的であったことがわかっています。
これは、個人の業務遂行能力の向上、睡眠トラブルの減少と疲労の軽減が要因であるとされています。
類似の取組み
4DayWeekFoundationが主導し、2022年にイギリスで行った、週4日勤務制に関する上記論文と類似した内容のパイロットプログラムの結果では、退職率と病気による欠勤率がともに50%以上減少したとの結果を公表しています。同プログラムにて、企業収益についてもほぼ横ばい、平均で1.4%増加と、適切な労働時間の削減は収益の低下につながらないことを示しました。同団体の、イギリスで週4日勤務制導入の促進を目指す活動に200以上の組織が参加しています。
導入にあたり業務の再編成が欠かせませんが、従業員のウェルビーイングを改善することで人材の獲得と定着を図る、これからの時代に即した制度といえるでしょう。
週4日勤務制だけが選択肢ではありません。
将来に向けて人事労務管理を見直したいとお考えでしたら、お気軽にお声掛けください。
【参考】nature asia>社会科学:週4日勤務制が労働者のウェルビーイングを向上させる
https://www.natureasia.com/ja-jp/clinical/research/15291
【参考】The 4Day Week Foundation公式ホームページ