· 

年休取得義務化6年目の現状

年次有給休暇のうち年5日の時季指定義務が法定されてから6年が経過しました。

厚生労働省の調査によると、時季指定義務の運用方法は次のような割合(10人未満事業所を除く)になっています。

 

(1)切替始めに計画年休制度により年5日を指定16.3%

(2)労働者の意見を聞いた上で使用者が年5日を指定14.2%

(3)労働者の取得に委ねて年5日取得できている62.0%

(4)労働者の意見を聞かずに使用者が年5日を指定1.9%

(5)指定できておらず、年5日取得できていない3.4%

 


制度運用の課題

企業規模別では、「企業規模300~499人」では(1)が38.4%と他の企業規模(10人未満を除く)の平均より約3倍も多くなっている一方、(5)が9.1%と約4倍も多いことです。つまり、300~499人規模の企業では年間計画を立てている企業が多い一方、年5日取得できていない労働者がいる企業も多いということです。

 

これは、従業員が増えることで管理が難しくなることを示しています。管理のためには制度化が必要ですが、一方で計画を立てすぎると柔軟な運用が難しくなり、現場の納得感も得られにくくなります。制度の運用方法を見直す際は、こうした点に留意することが重要です。

 

消滅年休の活用

また、2年の時効を迎えた年次有給休暇については、「そのまま消滅」としている企業が60.0%と多数を占める一方、「特別休暇等として積み立てている」企業は6.6%にとどまっています。こうした有効活用の取組みは、企業の魅力向上にもつながる可能性があります。

 

 

現在、人手不足や採用難が深刻化しており、今後は介護離職による労働力不足も懸念されています。

対策として、介護などの理由で年休を有効活用できる制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

ご不明な点などございましたらお気軽にお声掛けください。

 

【参考】厚生労働省>労働時間制度等に関する実態調査結果について(概要)

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001491863.pdf