
2025年版の中小企業白書・小規模企業白書が、閣議決定され、公表されました。
本年版では、円安・物価高の継続や「金利のある世界」の到来による生産・投資コスト増、構造的な人手不足など、激変する環境において、中小企業・小規模事業者が課題を乗り越え、成長・持続的発展を遂げるに当たっては、「経営力」が重要であるとして、分析が行われています。
その概要を抜粋して紹介します。
共通:「成長・発展」と課題解決両方の実現のため、大前提として経営者の「経営力」の向上が重要
(1)個人特性面
異業種・広域ネットワークで他の経営者と交流し、学び直しに取り組む経営者の成長意欲の高さは業績向上に寄与
(2)戦略策定面
経営計画策定・実行、差別化や市場環境を意識した適切な価格設定を行う戦略的経営は業績向上や賃上げ・投資を促進
(3)組織人材面
経営理念、業績・経営情報の共有を重視するオープンな経営は業績向上に寄与。賃上げ、社内コミュニケーション円滑化、働き方・職場環境改善など、従業員を大切にする人材経営は従業員の確保・維持に貢献
中小企業:「成長・スケールアップ」に向けた経営力の向上
(1)売上高規模ごとに存在する「成長の壁」の打破
- 成長を加速させる段階では、経営者にないスキルを持つ補完型人材確保、職権分散による一人経営体制の克服が必要
- 売上高100億円以上では、事業拡大・多角化する組織を経営者と共に支える経営人材やDX人材の確保・育成が必要
(2)M&A・イノベーション・海外展開は成長への戦略的手段
- 経営者主導のPMIで信頼関係を構築し、シナジー効果獲得
小規模事業者:「持続的発展」に向けた経営力の向上
(1)差別化と経営の振り返りによる独自の強み・付加価値の創出
- 「尖った」商品により顧客を獲得することが重要
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- 希少性を確保する企業は、売上げ・人材確保にも好影響
- 経営計画策定を通じて経営者のリテラシーを高め、経営振り返りと改善のサイクルを通じた「経営の自走化」を目指す
(2)地域の社会課題解決事業を担うビジネスの推進
- 営利事業として取り組んでいる企業は、業績にも好影響
中小企業白書・小規模企業白書は、政府が、中小企業基本法・小規模企業振興基本法に基づいて、毎年作成し、閣議決定を経て国会に提出する年次報告です。
経営に関与する者としては、目を通しておきたい白書と言えるでしょう。
自社の経営に生かせるアイデアがあれば活かしていきたいですね。
ご不明な点などございましたらお気軽にお声掛けください
【参考】経済産業省>2025年版 中小企業白書・小規模企業白書が閣議決定されました
https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250425001/20250425001.html