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令和7年4月から「育児休業給付金の期間延長手続」がかわります。

内閣府地方分権改革有識者会議における「令和5年の地方分権改革に関する提案募集」において、自治体から

  • 保育所等への入所意思がなく、給付延長のために申し込みを行う者への対応に時間が割かれる
  • 意に反して保育所等への入所が内定となった方の苦情対応に時間を要している

として、見直しの要望があり、「令和5年の地方からの提案等に関する対応方針」(令和5年12月22日閣議決定)において、「育児休業給付の期間延長については、保育所等の利用調整における市町村(特別区を含む。)の事務負担を軽減するとともに、制度の適切な運用を図るため、公共職業安定所(以下、「ハローワーク」という。)において延長可否を判断することを明確化する方向で検討し、令和5年度中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる。」とされました。

 

これを受け、厚生労働省労働政策審議会に「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」を諮問・答申の上、雇用保険法施行規則を改正し、手続の見直しが行われたものです。

 


改正のポイント

ハローワークに提出する添付書類が増えます。

 

これまで(2025年3月31日まで)

保育所等の利用を申し込んだものの、当面入所できないことの確認は「市区町村が発行する入所保留通知書」などにより行われていました。

 

これから(2025年4月1日から)

「市区町村の発行する入所保留通知書」に【加えて】

「保育所等の利用申し込みが、速やかな職場復帰のために行われたものである」

と認められる=確認できる書類が必要となります。

 


まとめ:これから(2025年4月1日から)必要となる書類

  1. 市区町村が発行する入所保留通知書、入所不承諾通知書など
  2. 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
  3. 市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
  • 申込書の写しは全てのページを提出。
  • 申込書の写しは市区町村に申し込んだものと同じものであれば、市区町村の受付印は不要。
  • 利用申し込みの内容を途中で変更した場合は変更後の申込書の写しを提出。
  • 市区町村に入所申し込みを行ったときに、入所保留となることを希望する旨の書類を提出している場合は、その書類の写しも提出。
  • 提出した申込書の写しの内容が実際の申し込み内容と異なることが判明した場合は、不正受給に該当し、不正に受給した金額の返還と、悪質な場合はそれに加えて一定の金額の納付を命ぜられることがあります。

 

育児休業給付金の支給対象期間延長要件

1~3すべてを満たす必要があります。

 

1.あらかじめ市区町村に対して保育利用の申し込みを行っていること

  • 入所申込年月日が、子が1歳に達する日(※)までの日付となっていること。
  • 単に申し込みを失念していた場合や、入所申し込みを行おうと市区町村に問い合わせたところ、「入所が困難」との返答があり、期限内に申し込みを行わなかった場合は、延長は認められません。
  • 子が病気や障害により特別な配慮が必要であるため、保育体制が整備されていない等の理由で入所申し込みを市区町村が受け付けない場合は、申告書の理由欄にその旨を記載した上で、必要な書類(障害者手帳(写し)、特別児童扶養手当証書(写し)、医師の診断書等のいずれか)を添付。

 

2.速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めること

①~③すべてを満たす必要があります。

 

① 原則として子が1歳に達する日(※)の翌日以前の日を入所希望日として入所申し込みをしていること。

 

② 申し込んだ保育所等が、合理的な理由※なく自宅から通所に片道30分以上要する施設のみとなっていないこと。

 

※「合理的な理由」

原則として次のa~eのいずれかに該当する場合です。

a.申し込んだ保育所等が本人または配偶者の通勤経路の途中にある場合(本人または配偶者の勤務先からの片道の通所時間が30分未満の場合を含みます。)

 

b.自宅から30分未満で通うことができる保育所等がない場合

 

c.自宅から30分未満で通うことができる保育所等の全てについて、その開所時間または開所日(曜日)では職場復帰後の勤務時間または勤務日(曜日)に対応できない場合

 

d.子が疾病や障害により特別に配慮が必要であり、30分未満で通える保育所等は全て申し込み不可となっている場合(医師の診断書、障害者手帳の写し等が必要です)

 

e.その他、きょうだいが在籍している保育所等と同じ保育所等の利用を希望する場合、30分未満で通える保育所等がいずれも過去3年以内に児童への虐待等について都道府県または市区町村から行政指導等を受けていた場合も「合理的な理由」として認められます。

 

③市区町村に対する保育利用の申し込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示をしていないこと。

 

入所申込書において、「保育所等への入所を希望していない」、「速やかに職場復帰する意思がない」、「選考結果にかかわらず育児休業の延長を希望する」などの記載等があり、保育所等への入所の意思や速やかな職場復帰の意思がないことが明白な場合は、要件を満たしたと扱われません。

 

3.子が1歳に達する日(※)の翌日時点で保育所等の利用ができる見込みがないこと

  • 子が1歳に達する日(※)の翌日時点で保育が実施されないことを確認するため、発行年月日が子が1歳に達する日(※)の翌日の2か月前(4月入所申し込みの場合は3か月前)の日以後の日付となっている市区町村の通知書(入所保留通知書や入所不承諾通知書など市区町村によって名称は異なる)を添付。
  • 【やむを得ない理由なく内定辞退】を行っている場合はこの要件を満たしません。
    「やむを得ない理由」とは、内定の辞退について申し込み時点と内定した時点で住所や勤務場所等の変更等があり、内定した保育所等に子どもを入所させることができなかった場合を指します。

 

 

(※)パパ・ママ育休プラス制度の活用により、育児休業終了予定日が子が1歳に達する日後である場合は、育児休業終了日。ただし、育児休業終了予定日が子が1歳2か月に達する日である場合は、1歳2か月に達する日

 

(注1)「子が1歳に達する日」とは「子の1歳の誕生日の前日」のこと。

(注2)1歳6か月に達する日後の延長の場合は、「子が1歳に達する日(※)」を「子が1歳6か月に達する日」と読み替え。

 

 

ご不明な点などございましたらお気軽にお声掛けください。

 

【参考】厚生労働省>育児休業等給付について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html