
「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)」により、雇用保険法の一部が改正され、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金という新たな給付金が創設されました(いずれも、令和7年4月1日施行)。
ここでは「育児時短就業給付金」の概要を取り上げます。
1.受給資格・支給要件
次の①・②の要件を両方満たす方が対象です。
① 2歳未満の子を養育するために、育児時短就業する雇用保険の被保険者(注1)であること
② 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて(注2)、育児時短就業を開始したこと、または、育児時短就業開始日前2年間に、被保険者期間(注3)が12か月あること
加えて、次の③~⑥の要件をすべて満たす月について支給されます。
③ 初日から末日まで続けて、雇用保険の被保険者(注1)である月
④ 1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
⑤ 初日から末日まで続けて、育児休業給付又は介護休業給付を受給していない月
⑥ 高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月
(注1)雇用保険の一般被保険者及び高年齢被保険者。
(注2)育児時短就業に係る子について育児休業給付の支給を受けていた場合であって、当該育児休業給付に係る育児休業期間の末日の翌日(復職日)から起算して、育児時短就業を開始した日の前日までの期間が14日以内のとき。
(注3)賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間が80時間以上ある)完全月。
2.支給額・支給率
原則、育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相当額。
ただし、育児時短就業開始時の賃金水準(注4)を超えないように調整されます。

また、各月に支払われた賃金額と支給額の合計が支給限度額(注5)を超える場合は、超えた部分が減額されます。
なお、次の①~③の場合、給付金は支給されません。
① 支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業前の賃金水準(注4)と比べて低下していないとき
② 支給対象月に支払われた賃金額が支給限度額(注5)以上であるとき
③ 支給額が最低限度額(注6)以下であるとき
(注4)原則、育児時短就業開始前6か月に支払われた賃金※1の総額を180で除して得た額に30を乗じた額※2。ただし、育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き育児時短就業を開始した場合は、育児休業給付の支給に用いた賃金月額をいいます。
(※1 臨時に支払われる賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)
(※2 2025年7月31日までは、上限額:15,690円、下限額:2,869円。以後毎年8月1日に改定予定。)
(注5)「支給限度額」:459,000円(2025年7月31日までの額。以後毎年8月1日に改定予定。)
(注6)「最低限度額」:2,295円(2025年7月31日までの額。以後毎年8月1日に改定予定。)
3.支給対象期間(支給を受けることができる期間)
原則として育児時短就業を開始した日の属する月から育児時短就業を終了した日の属する月までの各暦月(以下「支給対象月」という。)について支給されます。

以下の①~④の日の属する月までが支給対象期間です。
①育児時短就業に係る子が2歳に達する日(注7)の前日
②産前産後休業、育児休業または介護休業を開始した日の前日
③育児時短就業に係る子とは別の子を養育するために、育児時短就業を開始した日(注8)の前日
④子の死亡その他の事由により、子を養育しないこととなった日
(注7)「子が2歳に達する日」とは、2歳の誕生日の前日をいいます。
(注8)同じ月において、子Aの育児時短就業を終了し、別の子Bについて育児時短就業を開始した場合、その月は別の子Bの育児時短就業の支給対象期間となり、子Aの育児時短就業は前月までが支給対象期間となります。
4.支給申請手続
支給申請は、原則として2か月ごとに(2つの支給対象月について)行います。
育児時短就業給付金の支給を受けるためには、
被保険者を雇用している事業主が
育児時短就業開始時賃金の届出、受給資格確認及び支給申請を行う必要があります。
育児時短就業開始時賃金の届出
育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き(注2)、同一の子について育児時短就業を開始した場合は不要。
ご不明な点などございましたらお気軽にお声掛けください。
【参考】厚生労働省>育児休業等給付について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html