工場のライン作業や、工事現場における交通誘導作業、スーパーの会計作業など様々な場面で見られる「立ち作業」は、業務に集中しやすい、とっさに動きやすいといったメリットがある一方で、長時間持続的に行われると足腰等への負担が大きくなり、作業効率も落ちるといったデメリットもあります。
従業員の負担を軽減するために、事業者として何ができるか、見てみましょう。
労働安全衛生規則の規定
まず、労働安全衛生規則615条では、就業中にしばしば座ることのできる機会のあるときには椅子の備え付けを事業者に義務付けています。
第615条(立業のためのいす)
事業者は、持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない。
必ずしも座って作業をすることを求めているものではありませんが、立ち作業にともなう従業員の足腰の負担を軽減するためには、作業時間の短縮やこまめな休憩の取得等を行うことや、作業中に座ることができるイスを設置するなどの対策が考えられます。
企業の取組事例
厚生労働省のホームページに、小売業、警備業、その他事業と産業ごとに各企業での「立ち作業の負担軽減対策の取組事例紹介」がされています。
【事例1】スーパーマーケットのレジ作業
軽く腰を掛けられるイスを設置し、接客の合間などに座っての待機を可能にした。
レジの足元にクッション性のあるマットを設置。
レジ以外には、可動式の陳列棚の導入により、品出しの作業効率を上げるとともに、中腰姿勢の時間を削減。
【事例2】警備業
座ることで、疲労・ストレスの軽減、心拍数・血圧などの上昇の抑制、身体的な負担が軽減されるとの研究結果をもとに、座哨しての警備を実践。
座哨警備を行う際には、事前に現場の責任者と話し合い、作業場所と警備の位置関係や交通量を確認、安全第一で実施。
その他、
高さのないパンプスやスニーカーでの勤務を可能にすることで、立ち作業における足腰の負担軽減対策をしている例もあるようです。
いずれの事例でも費用の目安は数万円でした。
ご不明な点などございましたらお声掛けください。
【参考】厚生労働省>立ち作業の負担軽減対策の取組事例紹介
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43968.html