フリーランスとして働く人々が安心して働ける環境を整備する目的で、11月1日に特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下、フリーランス法)が施行されました。
これを踏まえ、公正取引委員会と厚生労働省は共同で、新法施行前のフリーランス取引の実態を把握するために、様々な業界のフリーランス労働者と委託者を対象に、取引条件や契約内容、報酬の支払い状況などの実態調査を行いました。
調査結果の概要
新法の内容をよく知らないと回答した委託者は54.5%、フリーランスは76.3%と、双方ともに認知度が低い結果が出ています。業種でみると、いずれも、建設業と医療、福祉での認知度の低さが目立ちます。
○取引条件の明示
取引条件を明示しなかったことがある割合として、委託者は17.4%、フリーランスは44.6%と回答しており、いずれも建設業において多くみられます。
○買いたたき
報酬の額について十分な協議がなされていない割合として、委託者22.2%、フリーランス67.1%と大きく差がついており、フリーランスの不満の声が多く寄せられています。
○募集情報の表示
業務委託の募集広告内容と実際の業務内容に違いがあったとする割合は、委託者で2.6%、フリーランス53.1%と差が大きく、特に生活関連サービス業や娯楽業でフリーランスにとって掲載内容の誤りや誤解を生じさせる表示であったとの意見が多くありました。
○育児介護と業務の両立配慮
妊娠・出産・育児・介護の事情に関して、業務との両立のため、委託者に配慮を求めたいフリーランスは70.7%に上ります。それに対し、応じていないと回答した委託者は0%で、フリーランスは6.8%が対応してもらえなかったと回答しています。
○ハラスメント対策の整備
フリーランスへのハラスメント対策が整備・社内通知されていない委託者は51%と、体制整備の遅れが目立ちます。
以上、法施行前のフリーランスの労働環境は、生活が不安定になるリスクが多く、不満が募る状態となっていたことがわかります。
新法の施行により、これらの問題が改善されることが期待されます。
ご不明な点などございましたらお声掛けください。
【参考】公正取引委員会・厚生労働省>フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)結果
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/oct/241018_freelance2.pdf