介護離職防止は、企業にとって今後ますます重要な施策となります。
経団連の調査によると、企業が介護との両立支援策として育児・介護休業法に規定されている項目以外で導入している制度や仕組みとしては、下記のようなものが多いとのことです(複数回答)。
- テレワーク(在宅勤務)80.1%
- 介護を事由に取得できる休暇(失効年休の積立休暇など)73.3%
- 所定労働時間内の一時的な離席(時間単位年次休暇の利用などを含む)58.8%
- 相談窓口の設置52.2%
- 介護をしている社員の人事異動・転勤についての配慮50.4%
- 本人の希望による職掌・雇用形態の変更27.3%
積立有給休暇制度
これらのうち、2番目に導入割合の高い積立有給休暇制度は、取得しなければ通常2年で時効消滅してしまう年次有給休暇を、一定期間積み立てておけるようにする制度です。
法定の制度ではないので、企業により名称や取り組み方も様々ですが、そのメリットは、なんといっても人材採用・定着が有利になることです。
多様な働き方を支援することで自社のイメージアップを図り、従業員エンゲージメントを向上させたいのであればぜひ導入を検討すべきです。
制度検討時のポイント
制度導入にあたっては、業務の調整や人員のやりくりに支障が出ないよう、次の点を検討しましょう。
- 積立有休の取得用途に制限を設ける{介護・病気療養・ボランティア活動など}
- 1年度あたりの積立て可能日数の上限を設ける(5日など)
- 最大積立日数も上限を設ける(30日、60日など)
- 積み立てた有休に有効期限を設ける(2年など)
- 連続で取得可能な日数に制限を設ける
- 退職の際の取扱いを決める(退職時に取得可能とするか、買い取るかなど)
このほか、就業規則への記載や申請書の整備も必要となるほか、実際に使える制度とするためには、運用ルールを明確にし、従業員にきちんと周知する、取得できる空気をつくるということも重要です。
【参考】経団連>2023年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/006.pdf