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性同一性障害、性別変更要件に違憲判決

性同一性障害の人の性別変更をめぐり、最高裁は10月25日、生殖能力をなくす手術を義務付ける性同一性障害特例法の規定について、憲法13条に違反し無効であるとの判断を示しました。

 

今回の裁判は、トランスジェンダーの女性が手術なしでの性別変更を認めるよう申し立てたものです。

 

手術は身体的苦痛等が伴うものであり、特例法により「手術をするか、性別を変更するか」という選択を強いられることが、個人の尊重や法の下の平等などを保障した憲法に違反すると訴えていました。

 

今回の決定により、2019年に合憲とした最高裁判断は変更され、国は特例法の見直しを迫られることになりました。

 


性同一性障害や多様な家族の在り方への社会的理解

近年、多くの自治体でパートナーシップ制度(婚姻していない2人が生活上のパートナーであることを届け出ることにより、ともに生活をするパートナーであることを証明する制度)が設けられています。

 

当初は同性カップルを念頭に置いた制度でしたが、現在では異性カップルも対象とするのが一般的になり、性同一性障害の人たちの利用も考慮されています。さらには、子または親など近親者を対象に含める事例(ファミリーシップ制度)などもあり、多様な家族の在り方に関する社会的状況は大きく変化しています。

 

それぞれの職場においても、性同一性障害を含む性的マイノリティの人たちの権利について、理解を深めることが望ましいといえるでしょう。

 

 

【参考】裁判所>令和2(ク)993_性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92446