経済産業省は2023年8月、同省の「デジタル時代の人材政策に関する検討会」において、「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」を公表しました。
検討会では、生成AIを適切かつ積極的に利用する人材・スキルの在り方について議論され、現時点でのとるべき対応として以下の3つが挙げられています。
▍(1)生成AIが社会にもたらすインパクト
- 生成AIはホワイトカラーの業務を中心に、生産性や付加価値の向上等に寄与し、大きなビジネス機会を引き出す可能性
- 企業視点では、生成AIの利用によるDX推進の後押しを期待、そのためには経営者のコミットメント、社内体制整備、社内教育のほか、顧客価値の差別化を図るデザインスキル等が必要
▍(2)生成AIがデジタル人材育成やスキルに及ぼす影響
- 人材育成と技術変化のスピードのミスマッチに留意し、その時々で環境変化をいとわず主体的に学び続けること、そのための企業内での環境整備等が必要
- 生成AIを適切に使う指示(プロンプト)の習熟等とともに、従来のスキル(戦略的思考、批判的考察力等)も引き続き重要
- 自動化が進み「作業」が大幅に削減され、専門人材を含む人の役割がより創造性の高いものに変わり、人間ならではのクリエイティブなスキル(起業家精神等)やビジネス・デザインスキル等が重要
- 生成AIの利用により業務が効率化されることで、社会人が業務を通じて経験を蓄積する機会の減少を認識する必要
▍(3)生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキル(リテラシーレベル)の考え方
- マインド・スタンス(変化をいとわず学び続ける)やデジタルリテラシー(倫理、知識の体系的理解等)
- 言語を使って対話する以上は必要となる、指示の習熟、言語化の能力、対話力(日本語力含む)等
- 経験を通じて培われる、「問いを立てる力」「仮説を立てる力・検証する力」等
▍生成AIの利用について学べる講座も
政策での対応として、生成AIの登場や進化を踏まえた「デジタルスキル標準(DSS)」の改訂版を公表しました。
また、ポータルサイト「マナビDX」(https://manabi-dx.ipa.go.jp/)において、生成AIの利用方法を学べる講座の追加掲載などを実施しています。
検討会では、生成AIおよびその利用技術は絶え間なく進展しているため、
人材・スキルに与える影響について、今後も議論を続けていくとしています。
▍生成AIを活かすも活かさないもユーザー自身です。
生成AIを活かさないことは、通話できる携帯電話を手に持っているにも関わらず、10円玉を握りしめ、公衆電話を探しているようなものかもしれません。
活かせるものは、リテラシーをもって、リテラシーを高めながら、積極的に活用していきたいですね。
【参考】経済産業省>「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」を取りまとめました」
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230807001/20230807001.html