令和5年4月28日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)」が参院本会議で可決・成立しました。
この法律では、特定受託事業者(フリーランス)へ、物品の製造、情報成果物の作成またはサービスの提供を委託する特定業務委託事業者に対し、「取引の適正化」と「就業環境の整備」を求めています。
法案の概要は、以下のとおりです。
取引の適正化のために
(1)業務内容、報酬の額等を書面やメール等により明示する
(2)納品された日から60日以内に期日を設定して報酬を支払う(再委託の場合は、発注元の支払期日から30日以内)
(3)継続業務委託(政令で定める期間以上のもの)に関し、①〜⑤の行為、ならびに⑥・⑦の行為によって不当に利益を害する行為をしてはならない
①不当に納品を拒否すること
②不当に報酬を減額すること
③不当に返品を行うこと
④通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
⑤正当な理由なく物の購入・サービスの利用を強制すること
⑥金銭、サービスその他の経済上の利益を提供させること
⑦不当に業務内容を変更させたり、やり直しさせたりすること
就業環境の整備のために
(1)広告等により募集情報を提供するときは、正確かつ最新の内容を提供する
(2)育児・介護等と両立して委託された業務を行えるよう、申出に応じて配慮する
(3)ハラスメント行為への相談対応等、体制整備等の措置を講じる
(4)継続的業務委託を中途解除する場合等には、原則として30日前までに予告する
違反した場合等の対応
(1)公正取引委員会、中小企業庁長官または厚生労働大臣からの助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令
(2)命令違反および検査拒否等をすると50万円以下の罰金(法人両罰規定あり)
施行日は公布の日から1年6か月以内とされています。
フリーランスに委託している業務がある場合は、取引方法などに問題がないか、早めに確認するようにしましょう。
【参考】厚生労働省>フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html
【参考】内閣官房>特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)の概要
https://www.cas.go.jp/jp/houan/230224/siryou1.pdf
【参考】内閣官房>第211回 通常国会
https://www.cas.go.jp/jp/houan/211.html