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メリット制の適用を受ける事業主の不服の取扱いに関する報告書を公表

厚生労働省から、「労働保険徴収法第12条第3項の適用事業主の不服の取扱いに関する検討会」報告書が公表されました。

 

そのポイントなどを確認しておきましょう。

 


〔前提〕次のような現状が問題視されていた。

●労災保険給付支給決定がなされた場合、メリット制適用事業主は、労働保険料の負担が増大する可能性がある。

しかしながら、メリット制適用事業主は、

 

①労災保険給付支給決定に関する争いの当事者となる資格がないこととされている。

また、

②労働保険料認定決定の適否を争う際に、労災保険給付支給決定の要件該当性に関する主張はできないこととされている。

 

●仮に①が肯定されると、被災労働者等と利害が相反する事業主により争訟が提起され、被災労働者等の法的地位が不安定になることなどが考えられる。

 

●仮に②が肯定されると、被災労働者等に保険給付が既にされた後に当該給付の根拠を失わせる可能性が生じ、被災労働者等の法的な地位の安定性の観点から問題があることが考えられる。

 

そこで、検討を重ね、報告書にまとめる

報告書では、次のように取扱うことが適当であるとされた。

●労災保険給付支給決定に関して、事業主には不服申立適格等を認めるべきではない。

 

●事業主が労働保険料認定決定に不服を持つ場合の対応として、当該決定の不服申立等に関して、以下の措置を講じることが適当。

 

①労災保険給付の支給要件非該当性に関する主張を認める。

②労災保険給付の支給要件非該当性が認められた場合には、その労災保険給付が労働保険料に影響しないよう、労働保険料を再決定するなど必要な対応を行う。

③労災保険給付の支給要件非該当性が認められたとしても、そのことを理由に労災保険給付を取り消すことはしない。

 

報告書に則って、詰めの議論が進められると思いますが、事業主側からすれば、良い方向に向かうといえます。

今後の動向に注目です。

 

しかし、労災事故(業務災害)が発生しなければ、メリット制により労働保険料が増額することもないので、労災事故に類する事故も含め、その予防が最も重要です。

 

 

【参考】厚生労働省>「労働保険徴収法第12条第3項の適用事業主の不服の取扱いに関する検討会」報告書を公表します

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29742.html