国民年金基金連合会のまとめにより、企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)で、約112万人分の年金資産が運用されずに放置された状態になっていることがわかりました。
加入者が転・退職時などに必要な手続きを取らなかったことにより「自動移換」され、公表記録のある2017年度末からその数は1.5倍に増え、総額は昨年度末で約2,600億円に上るとのことです。
企業型DC資格喪失後の資産移換先
従業員が60歳未満で中途退職して企業型DCの資格を喪失した場合は、
①他の企業型DCへ資産移換する、
②iDeCoに資産移換する、
と大きく2つの選択肢があります。
資格喪失後6カ月以内に移換手続をせずに放置しておくと、自動的に売却・現金化され、国民年金基金連合会(または、特定運営管理機関)の口座に移換されてしまいます(自動移換)。
「自動移換」のデメリット
自動移換されると、国民年金基金連合会や特定運営管理機関への手数料を取られるばかりでなく、毎月のように管理手数料がかかり、資産の運用指図や給付金の請求もできません。また、通算加入期間にもカウントされず、給付金の受取開始が遅くなる可能性もあります。
企業の実務担当者は、従業員の退職時には、他の退職手続と合わせて、この企業型DCの資産移換についても、忘れずにアドバイスしてください。
【参考】iDeCo公式サイト「就職(転職)・退職された方へ」
https://www.ideco-koushiki.jp/retirement/