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新型コロナに係る傷病手当金の支給に関するQ&Aが改訂されています

「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」が改訂され、新たに7つのQが追加されました。

 

Q9:被保険者が、業務災害以外の事由で罹患した新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)の療養のため、労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

 

Q10:被保険者は検査を実施していないが、同居家族が濃厚接触者となり有症状になった場合等において、医師の判断により当該被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染していると診断されたため、当該被保険者が労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

 

Q11:新型コロナウイルス感染症にかかる傷病手当金の支給申請に当たり、保健所等が発行する「宿泊・自宅療養証明書」の添付は必要か。

 

Q12:傷病手当金の支給申請関係書類として、「宿泊・自宅療養証明書」が提出された場合に、当該書類を医師の意見書として取り扱ってよいか。

 

Q13:被保険者が、新型コロナウイルス感染症の治癒後においても、事業主から感染拡大の防止を目的として自宅待機を命じられたため労務に服することができない場合、当該期間について、傷病手当金は支給されるのか。

 

Q14:事業主から自宅待機を命じられていた期間中に新型コロナウイルス感染症に感染した場合、傷病手当金の待期期間の始期はいつか。

 

Q15:海外で新型コロナウイルス感染症に感染し、医師の意見書を添付できない場合は、何をもって労務不能な期間を判断すればよいか。

 

 


Q9:被保険者が、業務災害以外の事由で罹患した新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)の療養のため、労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

A:傷病手当金の支給対象となりうる。

 

Q10:被保険者は検査を実施していないが、同居家族が濃厚接触者となり有症状になった場合等において、医師の判断により当該被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染していると診断されたため、当該被保険者が労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

A:傷病手当金の支給対象となりうる。

 

Q11:新型コロナウイルス感染症にかかる傷病手当金の支給申請に当たり、保健所等が発行する「宿泊・自宅療養証明書」の添付は必要か。

A:健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号)第84条第2項では、傷病手当金の支給申請書には医師等の意見書及び事業主の証明書を添付しなければならないこととされているが、「宿泊・自宅療養証明書」については添付を求められていない。

 

また、「宿泊・自宅療養証明書」については、医療従事者や保健所等の方々の事務負担を考慮して内容を簡素化する等の対応を行っている中で、保険者において一律に当該証明書を求めることは適切ではない。なお、保険者の判断により、何らかの証明書を求める場合には、例えば、MyHER-SYS(※1)により電磁的に発行された証明書の活用を認める等の対応が考えられる(※2)。

 

(※1)厚生労働省が運用している「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム」。陽性者等がスマートフォンやパソコン等で自身や家族の健康状態を入力できる。

 

(※2)生命保険協会及び日本損害保険協会では、医療従事者や保健所等の方々の事務負担を考慮し、宿泊療養又は自宅療養の期間が、厚生労働省の療養解除基準に準じた期間(例:無症状であれば7日間、有症状であれば10日間)の範囲内であれば、宿泊療養又は自宅療養の開始日の証明に基づき支払いを行い、宿泊療養又は自宅療養の終了日の証明は求めないような取扱いを行っている。

 

なお、やむを得ない理由により医療機関への受診を行わず、医師の意見書を添付できない場合には、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等により、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとする。

 

Q12:傷病手当金の支給申請関係書類として、「宿泊・自宅療養証明書」(「宿泊療養又は自宅療養を証明する書類について」(令和2年5月15日付け(令和4年4月27日一部改正)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)別添様式。以下「「宿泊・自宅療養証明書」」という。)が提出された場合に、当該書類を医師の意見書として取り扱ってよいか。

A:健康保険法施行規則第84条第2項第1号及び第3項では、傷病手当金の支給申請書には以下事項に関する医師又は歯科医師(以下「医師等」という。)の意見書を添付しなければならないこととされている。

  • 被保険者の疾病又は負傷の発生した年月日
  • 原因
  • 主症状
  • 経過の概要
  • 労務に服することができなかった期間
  • 当該証明書を証する医師等による診断年月日及び氏名

このため、自治体や保健所等の担当者ではなく、診療を実施した医師等が証明した「宿泊・自宅療養証明書」については、上記要件を満たす場合に限り、医師の意見書として取り扱って差し支えない。

なお、「宿泊・自宅療養証明書」の取扱いについては、Q11も参照すること。

 

Q13:被保険者が、新型コロナウイルス感染症の治癒後においても、事業主から感染拡大の防止を目的として自宅待機を命じられたため労務に服することができない場合、当該期間について、傷病手当金は支給されるのか。

A:傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものである。

 

したがって、治癒後においても、事業主から感染拡大の防止を目的として自宅待機を命じられた場合は、被保険者が疾病、負傷等の療養による労務不能と認められないため、傷病手当金は支給されない。

 

なお、法律等に基づかない使用者の独自の判断により、一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされている。

 

Q14:事業主から自宅待機を命じられていた期間中に新型コロナウイルス感染症に感染した場合、傷病手当金の待期期間の始期はいつか。

A:傷病手当金の待期期間の始期は、被保険者が療養のため労務に服することができなくなった日とされており、医師の意見書等の内容を踏まえて判断される。

 

また、従前より、医師が診察の結果、被保険者の既往の状態を推測して初診日前に労務不能の状態であったと認め、意見書に記載した場合には、初診日前の期間についても労務不能期間となり得ることとしている。

 

なお、やむを得ない理由により医療機関への受診を行わず、医師の意見書を添付できない場合には、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等により、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとする。

 

Q15:海外で新型コロナウイルス感染症に感染し、医師の意見書を添付できない場合は、何をもって労務不能な期間を判断すればよいか。

A:やむを得ない理由により医療機関への受診を行わず、医師の意見書を添付できない場合には、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等により、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとする。

 

改訂後のQ&A全文は以下をご参照ください。

 

【参考】厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」の改訂について

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220705S0010.pdf