国税庁から、「令和4年4月源泉所得税の改正のあらまし」が公表されました。
今後適用されることになる源泉所得税関係の改正の主要なものが掲載されています。
そのうち、給与計算や年末調整に影響するものを紹介します。
令和4年10月1日以後に「給与所得者の保険料控除申告書」を提出する場合について適用
給与等の支払を受ける者が、年末調整において、「給与所得者の保険料控除申告書」に記載すべき事項を電子データで勤務先に提供する場合には、社会保険料控除又は小規模企業共済等掛金控除に係る「控除証明書」の書面による提出又は提示に代えて、その発行者から受領した一定の電子データによる提供をすることができることとするほか、「控除証明書」の範囲に、その発行者から提供を受けた電子データを一定の方法により印刷した電磁的記録印刷書面を加えることとされました。
令和5年分以後の所得税について適用
扶養控除の対象となる扶養親族の範囲から、年齢30歳以上70歳未満の非居住者であって次のいずれにも該当しないものが除外されることになりました(逆にいえば、次のいずれかに該当することが必要)。
①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
②障害者
③扶養控除の適用を受けようとする居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者
そのため、非居住者である扶養親族が30歳以上70歳未満の場合には、その源泉徴収事務における確認書類に変更が生じます。
セル1 | 留学生 | 障害者 | 38万円以上の送金を受けている者 |
確認書類 | 留学ビザ等 | - | 38万円以上の送金関係書類 |
確認時期 | 扶養控除等申告書を受領するとき | - | 年末調整を行う時 |
(注)扶養控除等申告書を受領する時の親族関係書類及び年末調整を行う時の送金関係書類の確認については、現行のとおり必要となります。ただし、年末調整を行う時に38万円以上の送金関係書類の確認をする場合には、現行の送金関係書類の確認をする必要はありません。
令和6年1月1日以後に提出する「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」について適用
年末調整の際に、令和5年1月1日以後に居住の用に供する家屋に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用を受けようとする者は、住宅取得資金に係る借入金の残高証明書を「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」へ添付することが不要とされることになりました。
これらは、すべての社員に適用される規定ではありませんが、対象となる社員がいれば、企業側の対応に変更が生じる部分もあります。給与計算や年末調整を担当される方は、確認しておきたいところです。
【参考】国税庁>源泉所得税の改正のあらまし_令和4年4月
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0022004-066.pdf