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労働所得格差の動向~内閣府レポートより

内閣府は、国内経済の現状分析や動向などをまとめた「日本経済2021-2022成長と分配の好循環実現に向けて」を公表しました。

 

このレポートの第3章第3節では、「格差の動向と課題」と題し、労働所得や世帯所得、資産、資産所得の格差の変化について分析しています。そのうちの労働所得の格差についてまとめます。

 


非正規雇用者の増加により収入分布に変化

2019年の正規雇用者の年間収入の分布では、男性は200~1,000万円未満の所得層が大部分を占めていて、300万円と500~700万円未満の所得層でそれぞれにピークがみられます。女性は200~700万円未満の所得層が大部分を占めていて、200万円台でピークがみられます。

 

パートアルバイト等の非正規雇用者の年間収入の分布では男女ともに300万円未満の所得層が大部分を占めています。

2002年の分布と比較すると、男女のピークに変化はないものの、女性の人数は50~300万円未満の所得層で増加していることがわかりました。また、2002年以降は、年間収入が300万円未満の所得層の割合が増加傾向であり、500万円以上の所得層の割合は、1,500万円以上の層を除いて減少傾向であることがわかりました。

 

25~34歳の所得格差が拡大

労働所得の分布について、格差を示す代表的な指標であるジニ係数(0~1の値で示され、1に近いほど格差が大きい)を計算してみると、2002~2007年にかけて緩やかに上昇した後、2017年にかけて緩やかに低下しています。

 

年齢別では、ジニ係数は全体的に緩やかに低下していますが、これは団塊の世代が退職したことにより全体の格差が縮小したと考えられます。また、25~34歳の層ではジニ係数が上昇しています。これは2002~2017年にかけて男性の非正規雇用比率が上昇し、労働時間が減少したことなどが背景にあると考えられます。

 

 

【参考】内閣府>日本経済2021-2022成長と分配の好循環実現に向けて」

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2021/0207nk/keizai2021-2022pdf.html