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傷病手当金や保険料免除の見直しを盛り込んだ健康保険法等の改正法が成立

令和3年の通常国会において、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し、全ての世代で広く安心を支えていく「全世代対応型の社会保障制度」を構築すべく、「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。

 

企業実務に影響がある改正事項も含まれています。施行期日を含め、概要を確認しておきましょう。

 


【高齢者医療確保法】後期高齢者医療における窓口負担割合の見直し

〔施行期日:令和4年10月1日から令和5年3月1日までの間において政令で定める日〕

 

後期高齢者医療の被保険者のうち、現役並み所得者以外の被保険者であって、一定所得以上(※)であるものについて、窓口負担割合を2割とする。

 

※課税所得が28万円以上かつ年収200万円以上(単身世帯の場合。複数世帯の場合は後期高齢者の年収合計が320万円以上)を予定。経過措置も含め、政令で規定。

 

【健康保険法、船員保険法】傷病手当金の支給期間の通算化

〔施行期日:令和4年1月1日〕

 

傷病手当金について、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給を受けられるよう、支給期間の通算化を行う。

 

【健康保険法、船員保険法、厚生年金保険法等】育児休業中の保険料の免除要件の見直し

〔施行期日:令和4年10月1日〕

 

短期の育児休業の取得に対応して、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1か月を超える育児休業を取得している場合に限り、免除の対象とすることとする。

 

その他の改正

任意継続被保険者制度の見直しなどを行うこととする。

 

 

この改正法による改正事項の中で最も注目を集めているのは、後期高齢者医療における窓口負担割合の見直しですが、企業実務を考えると傷病手当金の支給期間の通算化と育児休業中の保険料免除要件の見直しが重要といえます。

これらについては、改めて紹介します。

 

 

【参考】厚生労働省>全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案の概要

https://www.mhlw.go.jp/content/000733601.pdf

 

【参考】厚生労働省>全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案要綱

https://www.mhlw.go.jp/content/000733602.pdf