新型コロナワクチンの接種を加速化するため、企業や大学での「職域接種」が6月21日から可能とされ、6月8日から申請の受付が開始されています。一部の企業や大学では職域接種を実施するとの報道もされています。
職域接種は自治体からの接種券が届く前でも可能ですが、会場や人員は企業等が自ら確保しなければなりません。
実施形態としては、企業単独実施のほか、中小企業が商工会議所等を通じての共同実施、下請け企業、取引先を対象に含めての実施などがあります。
企業や大学に求められる主な実施要件は、以下のとおりです。
(1)医師・看護師等の医療職のほか、会場運営のスタッフ等、必要な人員を企業や大学等が自ら確保すること。また、副反応報告などの必要な対応を行うことができること。
(2)接種場所・動線等の確保についても企業や大学等が自ら確保すること。
(3)社内連絡体制・対外調整役を確保すること(事務局を設置すること)。
(4)同一の接種会場で2回接種を完了すること、最低2,000回(1,000人×2回接種)程度の接種を行うことを基本とする。
(5)ワクチンの納品先の事業所でワクチンを保管の上、接種すること。
ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱い
ワクチン接種自体は業務ではありませんが、接種に費やす時間や副反応が出た場合の労働時間や休暇の取扱いが気になるところです。
厚生労働省の見解は以下のとおりです。
「職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。
また、
①ワクチン接種や、接種後に副反応が発生した場合の療養などの場面に活用できる休暇制度を新設することや、既存の病気休暇や失効年休積立制度(失効した年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度)等をこれらの場面にも活用できるよう見直すこと、
②特段のペナルティなく労働者の中抜け(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを行うことなど)や出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めることなどは、労働者が任意に利用できるものである限り、ワクチン接種を受けやすい環境の整備に適うものであり、一般的には、労働者にとって不利益なものではなく、合理的であると考えられることから、就業規則の変更を伴う場合であっても、変更後の就業規則を周知することで効力が発生するものと考えられます(※)。
こうした対応に当たっては、新型コロナワクチンの接種を希望する労働者にとって活用しやすいものになるよう、労働者の希望や意向も踏まえて御検討いただくことが重要です。
※常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合、就業規則の変更手続も必要です。」
【参考】厚生労働省>新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)-4 労働者を休ませる場合の措置(休業手当、特別休暇など)>問20
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-20
【参考】厚生労働省>新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
【参考】厚生労働省>職域接種に関するお知らせ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_shokuiki.html