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「選択的週休3日制」の導入に向けて議論開始

自民党の一億総活躍推進本部は、希望する社員が週3日休むことができる「選択的週休3日制」の導入に向けた議論を進めており、政府は、今夏の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込む方向で調整しています。

 


コロナ禍の柔軟な働き方の後押しに

厚生労働省の「令和2年度就労条件総合調査」の結果によると、全体の82.5%の企業が「週休2日制」を採用(うち44.9%は「完全週休2日制」を採用)し、8.3%の企業が「完全週休2日制より休日数が実質的に多い制度」を採用しています。

 

近年、働き方改革推進の一環として、大企業を中心に週休3日制を導入する企業が増えていますが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、中小企業でも在宅勤務や柔軟な働き方への対応が求められるようになりました。

 

そこで、政府は、労働生産性を高めながら働き方の選択肢を広げるために「選択的週休3日制」の導入を促す議論を開始しました。

 

メリットと課題

自民党の一億総活躍推進本部が示した「選択的週休3日制」のメリットは以下のとおりです。

  • 育児や介護、治療に充てる時間の増加
  • リカレント教育(学び直し)や大学院進学によるキャリア形成
  • 地方での兼業やボランティア活動の促進

 

一方で、給与体系や人事評価、労務管理への影響が懸念されます。

 

特に1日あたりの労働時間が増え週の出勤日数が減ることによって、個人や他の従業員への業務の負担が増えることが考えられます。

 

また、従業員の多い大企業や中小企業の人員に余裕のある部署等は導入しやすいが、従業員数の少ない中小・零細企業には導入のハードルが高いとの意見も出ています。

 

現在、企業は週休3日制を労使の合意などで導入することができますが、政府は「選択的週休3日制」を導入する企業に対する助成金等の支援も検討しているとしています。

 

今後、メリットや課題について十分に議論し、労使双方の効率化が図られることを期待したいと思います。

 

 

【参考】厚生労働省>令和2年度就労条件総合調査

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/20/dl/gaiyou01.pdf

 

【参考】厚生労働省>就労条件総合調査

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html