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2021年度賃上げの実態~東京商工リサーチアンケートより

昨年に引き続き、企業は2021年もコロナ禍で新年度を迎えることとなりました。

 

東京商工リサーチでは、新年度における賃上げの実態を把握するべく、2021年4月1日~12日にインターネットによるアンケート調査を実施しました。

 

今回はその内容について紹介します。

なお、「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義し、資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義しています。

 


回答結果

●実施率

回答企業8,235社のうち、「実施する」は66.0%で、前年比8.5ポイント上昇

(昨年は、集計を開始した2016年以降で最低だった)

 

●産業別

実施すると回答した企業の産業別割合の高い順に、①製造業71.9%、②建設業67.4%(1,028社中、693社)、③卸売業66.9%(1,799社中、1,204社)。最も低かったのは、不動産業の46.2%(175社中、81社)。

 

●規模別

大企業が74.1%に対し、中小企業は64.8%

(大企業は建設業、製造業、卸売業、運輸業で「実施する」が70%を超えた)

一方、中小企業で70%を超えたのは製造業だけ

宿泊業や旅行業、飲食業などが含まれるサービス業他の「実施する」は、大企業が65.6%に対し、中小企業は58.4%。また、金融・保険業は、大企業で61.2%、中小企業で36.3%。

 

賃上げの内容

賃上げ内容については、「定期昇給」が83.6%、「ベースアップ」が28.7%、「賞与(一時金)の増額」22.4%など

 

賃上げ率

最多は「2%以上3%未満」の26.6%。次いで、「1%以上2%未満」の24.0%。

「50%以上」は8.2%だったが、2020年度実績の0.7%と比べると、今年になって水準が戻ってきた感がある。

 

 

度重なる緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の対象が広がる中、賃上げに慎重になっている企業は多いものの、半数以上が賃上げをする傾向にあります。

 

今後は業種により、財政の厳しい企業と余力を残した企業と、二極化がさらに進むことが懸念されます。

 

 

【参考】株式会社東京商工リサーチ>2021年度「賃上げアンケート」調査

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210419_02.html