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「令和3年度地方労働行政運営方針」にみる労務管理のポイント

今後の労働基準監督署等による監督・指導方針の傾向がわかる「令和3年度地方労働行政運営方針」が策定されました。

 

目次:令和3年度地方労働行政運営方針

第1 労働行政を取り巻く情勢

第2 総合労働行政機関としての施策の推進

第3 ウィズ・ポストコロナ時代の雇用機会の確保

1 雇用の維持・継続に向けた支援

2 ハローワークシステム刷新を踏まえた職業紹介業務の充実・強化について

3 業種・地域・職種を越えた再就職等の促進

4 非正規雇用労働者の再就職支援、新規学卒者等への就職支援

5 医療、介護、福祉、保育等分野への就職支援

6 就職氷河期世代活躍支援プランの実施

7 高齢者の就労・社会参加の促進

8 女性活躍・男性の育児休業取得の推進

9 障害者の就労促進

10 外国人に対する支援

11 派遣労働者の雇用の安定等

第4 ウィズコロナ時代に対応した労働環境の整備、生産性向上の推進

1 「新たな日常」の下で柔軟な働き方がしやすい環境整備

2 ウィズコロナ時代に安全で健康に働くことができる職場づくり

3 最低賃金、賃金引上げに向けた生産性向上等の推進、同一労働同一賃金など雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

4 総合的なハラスメント対策の推進

5 治療と仕事の両立支援

 

気になるポイントを見ていきましょう。

 


雇用の維持・継続に向けた支援

新型コロナへの緊急的な対応期を経て、ポストコロナへ政策の重心が移っていくようです。

産業雇用安定助成金やトライアル雇用助成金などを活用した、在籍型出向の活用や再就職支援を支援する、とあります。出向契約や出向に関する意向の確認などが重要となるでしょう。

 

女性活躍・男性の育児休業取得等の推進

女性活躍推進法の行動計画策定義務対象企業が、この4月より101人以上に拡大されています。また、新設が予定される、いわゆる男性版産休制度(子の出生後8週間に4週間の休みを取得可能とすること等が柱)も、制度の施行は2022年秋頃が予定されているようですが、どのような内容になるのか確認しておく必要があるでしょう。

 

テレワーク、労災

今や、やっている・知っていて当然となったテレワークに関しても、取組みを強化するようです。人材確保等支援助成金による支援があります。テレワークに関しては技術的な面からも、労働時間の管理、健康管理などの労務管理の面からも、これから人事労務担当者の必須の知識となるでしょう。

 

また、新型コロナ感染症による労災にも注意しておきましょう。医療関係の職種だけではなく、ビルメンテナンス業の清掃員や建設業の施工管理者・営業職従事者・建設作業員、港湾荷役作業員、販売店員でもコロナによる労災が認められた事例があります。

 

 

監督・指導は長時間労働の是正に関する監督指導が中心にはありますが、今年度の運営方針では、職場のハラスメントや勤務間インターバル、同一労働同一賃金などについても触れられていますので、昨今の傾向を反映した調査・指導にも注意が必要です。

 

【参考】厚生労働省>「令和3年度地方労働行政運営方針」の策定について

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17792.html

 

【参考】厚生労働省>テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html