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再びの緊急事態宣言とコロナ鬱防衛策

1月13日、政府は、東京、千葉、神奈川、埼玉の1都3県に続いて、大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、栃木、福岡にも緊急事態宣言を発令しました。

 

これを受け、テレワーク等の強化を促す政府の姿勢に合わせる企業も多いかと思います。

 

ただ、こうした流れで気になるのが、コロナ鬱です。

 

昨年に緊急事態宣言が出された後にも問題となっています。

 


最近の調査研究から

収入の減少や様々な他者との接触機会の減少などから、うつ状態や自殺念慮に関するリスクが高まることが知られています。

 

最近の独立行政法人経済産業研究所の調査研究では、世帯収入や預貯金額の少ない人々、世帯収入が1年前よりも減少した人々、過去1か月間に仕事以外で電話などの音声によって頻繁に連絡をとった人々、新型コロナウイルスに感染したと診断された人々、昨年同時期よりも運動量が減った人々は、うつ病や自殺念慮を有する割合が高かったそうです。

 

一方で、相談相手のいる人々、過去1か月間に仕事以外で知り合いと直接会った人々、過去1か月間にLINEなどの音声を伴わないリアルタイムでの連絡を頻繁に行った人々、規則正しい生活を送る人々は、うつ病や自殺念慮を有する割合が低かったということです。

 

防衛策として

コロナ禍であっても、知人との適度なコミュニケーションをとる、困ったことが起きたら1人で溜め込まずに適切な相手に相談をする、起床・就寝・食事時間などの生活リズムを一定にして過ごすことが、個人でできるコロナ禍におけるメンタルヘルス対策として有効である可能性があります。

 

また、日ごろの運動量を可能な範囲で維持することも重要とされ、コロナの猛威が喧伝されたとしても、防衛策のひとつとして、適度な運動は必要なようです。

 

首都圏在住の勤労者(男性)の出勤時の歩数は平均で1万歩程度、休日の歩数は7,000歩程度(※)だそうですので、テレワーク中でもこれくらいの歩数またはそれに相当する程度の運動量が必要なのでしょう。

 

※公益財団法人日本産業衛生学会>産業衛生学雑誌」2006-48>首都圏在住の男性勤労者における歩数とBody Mass Index の関係

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sangyoeisei/48/5/48_5_176/_pdf/-char/ja

 

通勤がないから楽でいいや、とテレワークの恩恵に浸りすぎてしまい、心まで病まないように気を付けたいところです。

 

体温が上がると体の免疫力も上がることが知られています。

日頃、運動習慣のない人は余計に気を付けたいですね。

 

会社としては、そうした情報を社員に伝えること、また単純なことですが、テレワークしている社員からのメッセージにはできる限り即レスする等、コミュニケーションは「密」が良いようです。

 

 

【参考】独立行政法人経済産業研究所>第3波直前の我が国における、コロナ禍でのうつ状態と自殺念慮に関するリスクの検討:「新型コロナウイルス流行下における心身の健康状態に関する継続調査」第一回調査結果より

https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/20j044.html

 

【参考】公益財団法人日本産業衛生学会>産業衛生学雑誌」2006-48>首都圏在住の男性勤労者における歩数とBody Mass Index の関係

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sangyoeisei/48/5/48_5_176/_pdf/-char/ja

 

【参考】厚生労働省>精神障害の労災認定

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/120427.html