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コロナ問題影響下における人材派遣をめぐる最新動向

厚生労働省によれば、7月31日集計分の解雇等見込み労働者数のうち非正規雇用労働者数(パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託等)は16,342人です。5月25日の集計分2,366人と比較すると約7倍で、13,976人増加しています。

 

非正規雇用労働者以外の解雇等見込み労働者数が、7月31日集計分41,391人、5月25日集計分16,723人で24,668人増と約2.5倍であるのに比べると、割合としては非正規雇用労働者のほうが増えています。

 


厚生労働省も派遣労働者の雇止め問題を注視

リーマンショック時の派遣労働者の雇止め問題を受け、厚生労働省ではコロナ問題発生後、労使団体や派遣業界に対して雇用維持を図るよう、度々要請しています。

 

7月31日の加藤厚生労働大臣の記者会見では、派遣契約更新の多かった6月末時点では派遣契約の継続や新たな派遣先確保により、基本的に維持ができているという認識が示されました。

 

一方、9月の更新時期を迎えるにあたっては、都道府県労働局において、雇止め等があれば、雇用安定措置の適切な履行あるいは雇用調整助成金の活用による雇用維持等、必要な指導を徹底的に行いたいとしています。

 

すでに、各労働局に対して雇用維持に係る要請をさらに徹底していくよう指示を行い、製造系派遣を行う派遣元に対しては、中途解除等の状況把握および雇用安定措置等に係る指導監督を集中的に実施するよう、指示したとのことです。

 

令和3年度の同種業務に従事する一般労働者の賃金額の公表時期は延期

企業規模にかかわらず、派遣労働者については、今年4月1日よりいわゆる同一労働同一賃金が求められています。

 

派遣労働者の待遇決定にあたり、労使協定方式を採用している場合、派遣元は派遣労働者の待遇を「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」(以下、「一般労働者の賃金水準」という)と同等以上になるように、労使協定で定めることとなります。

 

この一般労働者の賃金水準は、前年または前年度の統計調査等を活用し、毎年6~7月に示すこととされていますが、7月29日、令和3年度分の公表を延期し、秋を目途に公表予定であることが明らかにされました。延期理由には、コロナ問題による雇用・経済への影響の先行き不透明を挙げています。

 

令和3年度に向けた派遣元と派遣先との契約交渉は本年末頃から開始されるとみられますが、今後の動向に注意しておく必要があります。

 

 

【参考】厚生労働省>新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouseisaku1.html

 

【参考】厚生労働省>関係団体への要請等について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/requests_of_mhlw_on_covid2019.html