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始めよう!「大人のがん教育」

がん発症者の3分の1は働く世代で発症していること、また今後は就労人口に占める高齢者や女性の割合の増加によりがんを発症する就労者がさらに増加すると予想されることを背景に、企業には、働く人ががんになっても雇用を継続することができるよう配慮することが求められています。

 

その一環として、がんの予防や、発症後の治療と仕事の両立につながる取組みが重要視されるようになってきました。

 

現在、子どもについては、小学校では2020年度、中学校では2021年度、高校では2022年度から、がんの種類やがん検診での早期発見の重要性、治療方法といった内容の教育が始められることとなっています。

 

問題は、このようなことが教えられてこなかった大人へのがん教育で、これを企業が健康教育として担うことが求められています。

 


「がん教育」のテーマ

大人のがん教育においては、がんに対する正しい知識を習得し、がんの予防につながる生活習慣の改善を図るとともに、早期発見・早期治療のためのがん検診受診を促進することがテーマとなります。

 

がん教育の実施にあたっては、厚生労働省「がん対策推進企業アクション」のホームページから各種資料がダウンロードできますので、これを活用するのもよいでしょう。社内のがん経験者の話を聞くのも参考になります。

 

今、「大人のがん教育」を始める重要性

職域での「大人のがん教育」は、まさに今、始めるべきものといえます。

なぜなら、コロナ禍にあって、予防・治療のための取組みが大きく遅れることが懸念されているからです。

 

 

生活習慣はがんの発生原因の1つですが、慣れない在宅勤務によって喫煙・飲酒が増える可能性があります。

 

通勤をしないことによる運動不足が原因で肥満が進み糖尿病になれば、がんになるリスクも高まります(がん全体では2割増、すい臓がん・肝臓がんでは2倍にもなるといわれています)。また、がん検診や人間ドックを事実上行うことができないところも多いことから、早期発見が遅れるなどの影響が生じることも考えられます。

 

このような環境の変化による現役世代のがんリスクを最小限にしていくためにも、適切な教育を行い、従業員それぞれに気をつけてもらうための取組みを始めることが大切だといえます。

 

 

【参考】厚生労働省>がん対策推進企業アクション

https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/index.html