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精神障害の労災が最多に~令和元年度「過労死等の労災補償状況」より

令和元年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました。

 

厚生労働省は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、平成14年から、労災請求件数や労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回、取りまとめています。

 

本調査によれば、仕事が原因で精神疾患にかかり令和元年度(2019年度)に労災申請したのは2,060件、支給決定件数は509件となり、いずれも統計開始以降最多でした。

 


業種別では「医療・福祉」が最多

請求件数でみると、業種別(大分類)では、

「医療、福祉」426件、「製造業」352件、「卸売業、小売業」279件の順に多くなっており、

 

支給決定件数でみると、業種別(中分類)では、

「社会保険・社会福祉・介護事業」が48件と最も多く、次いで「医療業」(30件)、「道路貨物運送業」(29件)と続きました。

 

年齢別では、

請求件数は「40~49歳」639件、「30~39歳」509件、「20~29歳」432件、

支給決定件数は「40~49歳」170件、「30~39歳」132件、「20~29歳」116件の順に多くなっています。

 

パワハラ法制化による労災認定基準の改正

令和2年5月29日付けで精神障害の労災認定の基準が改正され、具体的出来事等に「パワーハラスメント」が追加されました。

 

労災認定基準にパワハラの類型が新設されたことで、より早期にパワハラの問題が認識されることになります。

会社にとっては、一層パワハラ問題も意識した対策が必要になってくるでしょう。

 

新型コロナウイルス感染症の影響

また、現在新型コロナウイルスの流行により、治療に当たる医療関係者はじめエッセンシャルワーカー等のメンタルヘルスの問題がたびたび話題に上っています。

 

新型コロナウイルス感染症による働き方や環境の変化に伴い業務過多が生じ、結果的に長時間労働に陥ってしまうというようなケースもあります。

 

今後、様々な変化を踏まえ、企業としても労災が起きないような環境づくりに取り組んでいきたいところです。

 

 

【参考】厚生労働省>令和元年度「過労死等の労災補償状況」を公表します

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11975.html

 

【参考】厚生労働省>心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11494.html

 

【参考】厚生労働省>職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html