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令和元年度の下請法違反件数と新型コロナウイルスによる影響

公正取引委員会が報告した「令和元年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組」によると、令和元年度の下請法違反件数は8,023件(前年比306件増)で、昭和31年の下請法施行以降、過去最多となりました。

 

その内訳は7件が勧告で、8,016件が指導となっています。

 


違反件数を業種別でみると、

製造業が3,496件(43.6%)で最も多く、次に卸売業・小売業が1,679件(20.9%)、情報通信業が889件(11.1%)、運輸業・郵便業が797件(9.9%)と続いています。

 

違反件数を下請法違反行為の類型別にみると、

全体で13,528件のうち、発注書面の交付義務等を定めた手続き規定に係る違反が6,919件(前年比133件減)、親事業者の禁止行為を定めた実体規定に係る違反が6,919件(前年比100件増)となっています。

 

また、実体規定違反件数の内訳は、

支払遅延が3,651件(52.8%)で最も多く、次に下請け代金の減額が1,150件(16.6%)、買いたたきが721件(10.4件)となっており、これらが全体の約8割を占めています。

 

働き方改革がしわ寄せに

公正取引委員会は、昨年4月から施行された働き方改革関連法に伴う違反について、実例を挙げて報告しています。

具体的には、親事業者は残業時間の上限規制が設けられことにより長時間労働の削減等の取組みが行われ、そのしわ寄せで下請け事業者に対し、代金の減額や買いたたき、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更を行ったとしています。

 

新型コロナの影響を懸念

同委員会には2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、下請け事業者に対する納期の変更や発注の取消し等に関する相談が増えています。このため、中小企業庁との連名で下請法等に係るQ&Aを公表するとともに、個別相談等に迅速に対応していくとしています。

 

また、経済産業省も、同感染症の影響を受けやすい下請け等中小企業との取引きにおいて、納期遅れの対応や適切なコスト負担、迅速・柔軟な支払いなどに一層の配慮を講じるよう関係団体(1,142団体)を通じ、親事業者に要請を出しています。

 

【参考】公正取引委員会>(令和2年5月27日)令和元年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/may/200527.html

 

【参考】公正取引委員会>新型コロナウイルス感染症拡大に関連する下請取引Q&A

https://www.jftc.go.jp/oshirase/coronashitaukeqa.html

 

【参考】経済産業省>今般の新型コロナウイルス感染症により影響を受けている下請事業者との取引について、親事業者に要請します

https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200214011/20200214011.html

 

【参考】経済産業省>新型コロナウイルス感染症により影響を受けている下請事業者との取引について、一層の配慮を親事業者に要請します

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200310003/20200310003.html