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日本人の就業実態の傾向

「第3回日本人の就業実態に関する総合調査(2018年調査)」の結果が、(独)労働政策研究・研修機構から公表されています。この調査は、就業形態の多様化が進む中で、日本人の働き方の実情を体系的、継続的に把握することを目的としたもので、2014年に続けて3回目となります。

 

労働時間、賃金、能力開発、労使関係等、幅広い就業実態の傾向を把握する資料として役立つと思われますので、いくつかの項目を見ていきましょう。

 


労働時間

雇用者の週実労働時間は平均41.6時間となっており、雇用形態別にみると正規従業員:47.6時間、契約社員:42.2時間、派遣社員:40.0時間、嘱託:36.6時間、アルバイト:26.4時間、パート:26.1時間という順になっています。

 

しかし、直近では新型コロナ対応のために、在宅勤務や店舗の休業が進んでおり、実労働時間は短くなっているようです。また、主婦層のパート社員の勤務先が休業等を行っていること等もあり、世帯としての収入は減少しているケースが多いと思われます。

 

新しい働き方

同調査では、非雇用者の状況についても調査が行われました。

非雇用者の中には、自営業・自由業、会社役員などが含まれますが、近年注目されているフリーランスや雇用類似的働き方で就業しているとの回答は2.9%となっています。しかし、本人は会社に雇われていると認識している人はこの数に含まれていません。

 

労働契約や仕事のさせ方等の状況によっては、今後トラブルが増えてくる可能性のある部分だと思われます。

また、厚生労働省ではこうした新しい働き方の労働者の保護等に関する政策を検討中ですので、今後の動きに注目しておくべきでしょう。

 

メンタルヘルス

就業者の中で過去3年間にメンタルヘルスに不調を感じたことが「ある」割合は32.8%、「ない」は64.9%となっています。3人に1人は不調を感じているようです。

 

産業別にみると、特に「医療、福祉」(40.2%)、「教育、学習支援業」(36.9%)、「学術研究、専門・技術サービス業」(36.4%)、「金融業、保険業」(35.8%)で高い傾向にあります。

 

メンタルヘルスには長時間労働が大きく関わりますが、週80~89時間労働の群で不調者の割合が高くなっています。不調者のうち、約25%が通院治療を必要としています。

 

 

新型コロナウイルスによる影響はまだまだ未知数な部分もありますが、働き方の見直しが加速度的に進む可能性もありますので、こうした全体的な状況を把握しておくことも大切でしょう。

 

【参考】独立行政法人労働政策研究・研修機構>「第3回日本人の就業実態に関する総合調査(2018年調査)」結果

https://www.jil.go.jp/press/documents/20200422.pdf

 

【参考】厚生労働省>こころの耳

https://kokoro.mhlw.go.jp/