労働施策総合推進法の改正により、6月1日から、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。
なお、中小事業主は、令和4年4月1日から義務化されます(それまでは努力義務です)。
(1)事業主および労働者の責務
●事業主の責務
[1]職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないこと等これに起因する問題に対する労働者の関心と理解を深めること、
[2]その雇用する労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう研修を実施する等、必要な配慮を行うこと
●労働者の責務
[1]ハラスメント問題に関する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に注意を払うこと
[2]事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること
(2)パワーハラスメントの防止のために事業主が講ずべき措置
[1]職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
[2]行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること
[3]相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
[4]相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること
[5]事実関係を迅速かつ正確に確認すること
[6]速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
[7]事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
[8]再発防止に向けた措置を講ずること
[9]相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
[10]相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
(3)事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止
事業主は、労働者が職場におけるパワーハラスメントについての相談を行ったことや雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いをすることが、法律上禁止されます。
セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント
これらについては、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法により、雇用管理上の措置を講じることが既に義務付けられていますが、6月1日から以下のとおり、事業所の規模を問わず防止対策が強化されます([1]・[2]の内容はパワーハラスメントと同様です)。
[1]事業主および労働者の責務
[2]事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止
[3]自社の労働者が他社の労働者にセクシュアルハラスメントを行った場合の協力対応
自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行い、他社が実施する雇用管理上の措置事実確認等への協力を求められた場合、これに応じるよう努めることとされました。
【参考】厚生労働省>職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
【参考】厚生労働省>女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年6月5日公布)の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000584588.pdf