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「平成30年若年者雇用実態調査」にみる若者の転職意識

厚生労働省から「平成30年若年者雇用実態調査」が公表されました。

 

5人以上の常用労働者を雇用する事業所約1万7,000カ所と、そこで働く若年労働者(15~34歳の労働者)約3万人を対象として平成30年10月1日現在の状況について調査を実施したものです(前回は平成25年)。

 

「定年前に転職したい」と考える正社員の割合は、前回の平成25年調査と比べて1.9ポイント増え、27.6%でした。

 

賃金や労働時間などの待遇面でより良い条件を求め、転職を考える若者が増えたことが分かりました。

詳しくは、以下のとおりです。

 


個人調査

●若年正社員の転職希望

若年正社員が現在の会社から定年前に「転職したいと思っている」割合は27.6%、「転職したいと思っていない」割合は33.2%となっています。

 

これを性別にみると、男性では定年前に「転職したいと思っている」が24.7%、「転職したいと思っていない」が35.1%、女性では定年前に「転職したいと思っている」が31.3%、「転職したいと思っていない」が30.6%となっています。

 

年齢階級別にみると、定年前に「転職したいと思っている」は「20~24歳」層が32.8%と他の年齢階級と比べて高くなっています。

 

●希望する転職年齢

定年前に転職したいと思っている若年正社員のうち、希望する転職年齢階級をみると、男性では「30~39歳」が42.7%と最も高く、女性では「29歳以下」が44.0%と最も高くなっています。

 

●若年正社員の転職希望理由

現在の会社から定年前に転職したいと思っている若年正社員について、転職しようと思う理由(複数回答)をみると、「賃金の条件がよい会社にかわりたい」が56.4%、「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」が46.1%と高くなっています。

 

●正社員以外の在学していない若年労働者の今後の働き方の希望

正社員以外の在学していない若年労働者の今後の働き方の希望をみると、「正社員として働きたい」が41.8%、「正社員以外の労働者として働きたい」が30.9%、「独立して事業を始めたい」が4.7%となっています。

 

性別でみると、男性では「正社員として働きたい」が49.3%、「正社員以外の労働者として働きたい」が14.9%、女性では「正社員として働きたい」が38.2%、「正社員以外の労働者として働きたい」が38.3%となっています。

 

事業所調査

「若年労働者の定着のための対策を行っている」事業所の割合

●若年正社員 72.0%(前回調査70.5%)

●正社員以外の若年労働者 57.1%(前回調査54.2%)

 

なお、若年労働者の定着のために実施している対策(複数回答)をみると、、、

「職場での意思疎通の向上」が若年正社員、正社員以外の若年労働者ともに最も高く、それぞれ59.0%、58.3%となっている。

 

その他、「本人の能力・適性にあった配置」、「採用前の詳細な説明・情報提供」、「教育訓練の実施・援助」などの割合が高い。

 

人手不足の状況が続く中、企業の存続を考えると、若年労働者の定着が不可欠です。

企業がその対策に迫られていることが、調査結果に表れていますね。

「職場での意思疎通の向上」が最も行われている対策ということですが、意思疎通が向上すれは、人材定着のほか、生産性のUPにもつなげられそうです。

 

なお、若年労働者の転職希望者は増加傾向にあるということで、企業としては、より一層、人材定着のための対策に工夫を凝らしていく必要があります。

 

調査結果も参考にしつつ、自社にあった人材定着対策を考えてみてはいかがでしょうか? 

 

 

【参考】厚生労働省>平成30年若年者雇用実態調査の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/4-21c-jyakunenkoyou-h30.html