近年、退職代行サービスの利用者が増加しています。
退職代行サービスとは、直接退職の意思を伝えることが難しい従業員に代わり、退職意思の伝達や、処理を行うものです。
利用者は退職する企業と一切やり取りをすることなく、自分で辞めるよりもスムーズに退職できると謳う業者が多いのが特徴です。
一方、弁護士のいない代行会社も多く、その場合は利用者の意思・希望の伝達以上のことはできません。
退職にまつわる交渉等をするには、企業は従業員本人と連絡をとらなければなりません。
費用は3~5万円が多く、弁護士に依頼するよりも当初の費用は抑えられますが、代行する行為にも制限があるのが特徴です。
背景にある問題
利用者が増加する背景には、さまざまな問題があります。
退職代行サービスを利用する理由として多いのは、次のようなものです。
[1]退職の意思を伝えたが、人手不足や上司の多忙等を理由に受け入れてもらえない
[2]パワハラがあり、相手の態度・言動が怖くて退職を言い出せない
[3]執拗な引留め交渉に時間を取られたくない
従業員本人としては退職の意思が固まっているにもかかわらず、企業側がそれを受け入れないという状況が読み取れます。
「自分の意思が尊重されないのでは」という思いが利用者側にあるようです。
企業の対応
従業員が退職代行サービスを利用すると、ある日突然、代行会社から企業に連絡がきます。
書面や電話等により、「当該従業員は本日より出社できない、有給を消化したうえで退職したい、以降の連絡は退職代行会社へしてほしい」という旨を伝えられることが多いようです。
突然出社しなくなるため、退職の理由を従業員本人から聞く機会もなければ、業務の引継ぎも難しい場合がほとんどです。
原則:退職は自由です。
それが従業員本人の意思であれば、企業は退職を受け入れ、必要な手続きを速やかに行うのが一般的です(交渉すべき事項がある場合は除く)。
問題がこじれるのを防ぐためにも、従業員が退職代行サービスを利用しなくてもよいと思える環境を企業が整備することが求められます。