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iDeCoなど企業年金の対象者拡大~社会保障審議会で検討

厚生労働省は、社会保障審議会で中小企業向け企業年金制度の拡大に向けての案を示し、大筋で了承されました。

 

来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。

 

見直し案は、将来的に公的年金の給付水準の目減りが避けられない中、私的年金の活用を促す狙いがあります。

 

前回の部会では、企業年金・個人年金の加入可能要件を見直して加入可能年齢を引き上げるとともに、受給開始時期等を柔軟化すべきであることが確認されていました。

 

一方、企業年金・個人年金の現状を見ると、

[1]中小企業を中心にそもそも企業年金がない者がいる、

[2]企業に企業年金があっても適用されていない者がいる、

[3]iDeCoについて加入可能範囲が拡大されたが、企業型確定拠出年金の加入者がiDeCoに加入できるのは同時加入を認める規約の定め等がある企業に限られている、

といった課題があります。

 

これらを踏まえ、より多くの企業・個人が制度を利用できるよう制度面・手続面の改善を図るべきではないかと、以下のような案が示されました。

 


中小企業向け制度の対象範囲の拡大

企業年金の導入率の低下は300人未満の企業で著しいことから、中小企業向けに設立手続を簡素化した「 簡易型DC 」や、企業年金の実施が困難な中小企業がiDeCoに加入する従業員の掛金に追加で事業主掛金を拠出することができる「中小事業主掛金納付制度 (iDeCoプラス」)」について、制度を導入可能な事業主の対象範囲を現行の100人以下から300 人以下に拡大する。

 

企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和

企業型DC加入者がiDeCoに加入できるのは、現行は労使合意に基づく規約の定めがあって事業主掛金の上限を引き下げた企業に限られているが、これを改め、規約の定めや事業主掛金の上限の引下げがなくても、iDeCoに加入できるように改善する。これにより、希望者全員がiDeCoに加入できるようになる。

 

iDeCoに係るその他の改善

□企業型DC加入者のマッチング拠出とiDeCo加入の選択

マッチング拠出を導入している企業の企業型DC加入者は 、 マッチング拠出か iDeCo 加入かを加入者ごとに選択できることとする。

 

□iDeCoの加入申込み

iDeCoの加入申込みや変更について、現行は紙による手続となっているが、オンラインで行うことを可能にするなど、各種手続面の改善をできる限り速やかに実現する。

 

確定拠出年金における中途引き出しの改善

例外的に認められている中途引き出し(脱退一時金の受給)について、外国籍人材が帰国するときは、制度に加入できず年金資産を積み増すことはできなくなることから、通算の掛金拠出期間が短いこと等の他の要件を満たせば、中途引き出しを認める。

 

 

【参考】厚生労働省>社会保障審議会(企業年金・個人年金部会)

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_163664_00006.html

 

【参考】iDeCo 

https://www.ideco-koushiki.jp/