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通年採用拡大の方針で合意(経団連・大学)

経団連(日本経済団体連合会)から、本年(2019年)4月末頃、「採用と大学教育の未来に関する産学協議会/中間とりまとめと共同提言」の資料が公表されました。

 

経団連と国公私立大学のトップで構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」では、2019年1月31日の第1回会合において3つの分科会を立ち上げ、延べ9回の分科会を開催してきました。この度、産学協議会において中間的な取りまとめが行われ、共同提言がなされました。

 

その中で、最も注目を集めたのが、企業の採用についてです。

 

具体的には、次のように示されています。

 


Society5.0時代の雇用システムや採用のあり方―ジョブ型を含む複線的なシステムへの移行

世界規模で激しくかつ不連続に変化するSociety5.0時代においては、これまでの新卒一括採用と企業内でのスキル養成を重視した雇用形態のみでは、企業の持続可能な成長やわが国の発展は困難となる。大学側の採用のあり方に関する意見も多様であるが、わが国の経済社会が大転換期を迎える中、学生の就職に対する意識も、時代の変化にあわせて、大きく変えていくことが求められる。

 

今後は、日本の長期にわたる雇用慣行となってきた新卒一括採用(メンバーシップ型採用)*1に加え、ジョブ型雇用を念頭に置いた採用(以下、ジョブ型採用)*2も含め、学生個人の意志に応じた、複線的で多様な採用形態に、秩序をもって移行すべきである。

 

採用・選考活動の早期化や長期化は、学生が密度の濃い学修や海外留学も含む多様な体験活動を行う際の阻害要因となる。学生の学修経験時間の確保を前提に、学生の主体的な選択や学修意欲の向上に資する就職・採用方法と、時代の要請に合致した質の高い大学教育を、企業と大学の共通理解によって実現していく必要がある。

 

 

*1新規卒業者を対象とし、採用日程・入社時期を統一し、学生のポテンシャルを重視した採用をいう。なお、現在でも卒業後3年以内は新卒扱いとするとの厚労省通達が存在するものの実質的に機能していないとの指摘がある。

 

*2新卒、既卒を問わず、専門スキルを重視した通年での採用、また、留学生や海外留学経験者の採用をいう。

 

 

通年採用が定着するのであれば、企業の採用活動も様変わりするかもしれません。

企業の採用担当者の業務の流れなども、見直す必要が出てきそうですね。

 

 

【参考】経団連HP>採用と大学教育の未来に関する産学協議会中間とりまとめと共同提言

https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/037.html