人手不足の状況が続く中、求人募集しても、「良い人からの応募がない」、「そもそも応募が全然来ない」という企業も多いようです。
一方で、たとえ良い人材を採用できたとしても、離職率が高ければ、なかなか企業の人手不足の問題は改善されません。
その中でも、中途採用者については、企業に定着してもらうまでに一定程度の時間や労力もかかりますので、その定着率については気になるところです。
約4割が「中途入社者の定着率が低い」と回答
エン・ジャパン株式会社が運営する人事向け総合情報サイト『人事のミカタ』上で、直近3年間で中途入社者(正社員)がいる企業を対象に実施した「中途入社者の定着」についてのアンケート調査(回答:693社)によると、約4割が「中途入社者の定着率が低い」と回答しているそうです。
業種別に見ると「流通・小売関連」(51%)、企業規模別では「1,000名以上」(48%)がそれぞれ最も高い割合となっています。
なお、同調査では、中途入社者が退職に繋がりやすい期間を聞いていますが、37%が「1カ月未満~6カ月」と回答しているそうです。3社に1社の割合で、入社者が早期に退職の選択をしていることがわかります。
定着率向上に寄与する企業の取組み
同調査では、企業が中途入社者の定着率向上のために行っている取組みとしては、「定期で行う上司との面談」(53%)、「歓迎会での交流」(50%)との2つの回答が、特に多くなっています。
取組みによる定着率の寄与度に関する調査では、定着率に好影響だったものとして「定期で行う人事との面談」、「定期で行う上司との面談」が挙がっています。
また、実際に実施している企業は1割と少なかったものの、効果があるものとして、「メンター・ブラザー・シスター制度によるフォロー」が挙がっています。
ちなみに、注目すべきところとして、定着率向上のための取組みとして「中途入社者コミュニティへの参加」、「社内見学」はむしろマイナスの影響につながるという結果が出ています。
定着率向上のための企業も取組み
人手不足の中、何の検討もなしに「何となく」採用活動をして、人を採るということは、社員の離職率の面からはリスクがあります。また、会社側が良かれと思って取り組んでいた定着率向上のための取組みも、実際には効果がないどころか、上記の結果のように、むしろ退職者を増やしている可能性もあります。
実際に効果のある取組みは何なのか、実際の効果を検討しながら、企業としても取り組んでいくべきでしょう。
【参考】エン・ジャパンHP>「人事のミカタ」>中途入社者の定着について
https://partners.en-japan.com/enquetereport/144