平成31(2019)年4月に主要な改正規定が施行される「働き方改革関連法」について、今回は、長時間労働者に対する面接指導等に関する改正のポイントを取り上げます。
長時間労働やメンタルヘルス不調などにより、健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないため、医師による面接指導が確実に実施されるようにし、労働者の健康管理を強化することとされています(労働安全衛生法の改正)。
【画像】厚生労働省リーフレット「過重労働による健康障害を防ぐために」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/101104-1.html
ポイント1_労働時間の状況の把握
●企業〔厳密には「事業者」〕は、安衛法の規定による面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、社員〔厳密には「労働者」〕の労働時間の状況を把握しなければなりません。
●企業は、これらの方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存するための必要な措置を講じなければなりません。
※労働時間の状況の把握は、労働者の健康確保措置を適切に実施するためのものであり、その対象となる労働者は、高度プロフェッショナル制度の適用者を除き、
①研究開発業務従事者、②事業場外労働のみなし労働時間制の適用者、③裁量労働制の適用者、④管理監督者等、⑤派遣労働者、⑥短時間労働者、⑦有期契約労働者を含めた全ての労働者です。
ポイント2_労働者への労働時間に関する情報の通知
●企業は、時間外・休日労働時間の算定を行ったときは、当該超えた時間が1月当たり80時間を超えた社員本人に対して、速やかに当該超えた時間に関する情報を通知しなければなりません。
※当該通知については、高度プロフェッショナル制度の適用者を除き、管理監督者、事業場外労働のみなし労働時間制の適用者などを含めた全ての社員に適用されます。
ポイント3医師による面接指導の対象となる労働者の要件
●面接指導の対象となる社員の要件を、時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者に拡大しました。(改正前は「80時間」ではなく、「100時間」でした)
※面接指導を行うに当たっては、この要件に該当する労働者の申出により行います。
労働時間の状況の把握は、これまでは、主に、割増賃金の未払いの防止に着目して行うこととされていたため、管理監督者などは、対象外とされていました。
しかし、平成31年4月からは、労働者の健康確保措置を適切に実施するためのものと位置付けられ、管理監督者なども対象とされます。
〈補足〉高度プロフェッショナル制度の適用者は、「健康管理時間(基本的に在社時間)」を把握することされており、労働時間の状況の把握の対象外とされています。
上記のほか、「産業医・産業保健機能の強化」といった改正も行われています。
【参考】厚生労働省HP>「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html