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限定正社員の導入状況

「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」(労働政策研究・研修機構)の結果をみると、企業の20.4%で限定正社員がおり、導入による効果も上がっているようです。

 

限定正社員とは、ここでは勤務地、職務、労働時間等が限定されている正社員のことですが、実際には、勤務地の限定(転勤の制限)が最多で82.7%を占めています。

 


導入の効果

限定正社員という働き方を導入した企業では、人材定着率の向上(54.7%)が社員のワーク・ライフ・バランスの向上(49.7%)、人材採用がしやすくなった(48.9%)、社員のモチベーションアップ(35.9%)、社員の労働生産性の向上(34.2%)、社員の専門性の向上(30.1%)といった効果を感じています。

 

限定正社員の不満

会社側としては一定の効果がある限定正社員。社員側でも制度に不満の「ない」人が61.2%と、不満の「ある」(31.1%)を上回っています。

 

一方で、不満な点(複数回答)としては、「不合理な賃金差」が最多で56.6%を占めています。

これは、情報共有の不徹底(36.8%)、不合理な昇進スピードの差(33.5%)等に比べると、かなり多くなっています。

 

基本給の差の設定については、「いわゆる正社員のほうが高い」とする割合が58.4%を占めていますが、「差はない」も39.4%となっています。

 

いわゆる正社員のほうが高い場合、限定正社員の基本給を「8割超~9割以下」とする割合が最も多く、43.0%となっています。

 

限定正社員については、いわゆる正社員との間の転換をどうするか等の制度設計も気になるところですが、従業員間の賃金に差をつけるには理由が必要であり、それは合理的なものでなければならず、従業員に対して明確に説明できる必要があります。「合理的な賃金差」は、今後の労務管理においてより一層気をつけたいポイントとなるでしょう。

 

【労働政策研究・研修機構「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」(PDF)】

http://www.jil.go.jp/press/documents/20180911.pdf