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「採用選考に関する指針」の廃止で今後の採用活動はどうなる?

経団連(日本経済団体連合会)は、現在の大学2年生が対象となる2021年春入社以降の就職・採用活動のルール「採用選考に関する指針」を廃止することを正式に決定しました。

 

現行ルールでは、経団連の会員企業は会社説明会が3月1日、採用面接などの選考活動が6月1日、内定の通知日が10月1日をそれぞれ解禁日として、2020年春入社予定(現在の大学3年生)の学生まで適用することが決まっています。

 

政府は経団連の決定を受け、2021年春入社組(現在の大学2年生)については混乱を避けるため現在と同じ日程を維持する方針ですが、2022年以降は経団連や大学と協議をして新たなルールを作ることを検討しています。

 


指針は形骸化?

経団連の中西会長は、指針を廃止する理由として、主に次の点が挙げていました。

・指針は強制ではないため形骸化している

・経団連に加盟していない外資系やIT系の企業の採用活動は早期化している

 

内閣府と文部科学省が7~8月に行った就職活動に関する調査によると、経団連の指針で定める面接の解禁日を守っていない企業が62.4%(前年比3.1ポイント増)に上り、指針の形骸化が進む実態が浮き彫りになりました。

 

また、1953年の「就活協定」以来、就職・採用活動は早期化・長期化し、学業への影響が指摘されていました。

 

「通年採用」へ移行する企業も

近年では、「新卒一括採用」から「通年採用」へ移行する企業も増えてきています。

「通年採用」は、欧米では一般的となっており、企業は年間を通じて採用活動を行っているため、既卒者や留学生など幅広く人材と獲得できるとしています。

 

今後は政府主導でルールを作成

 

今後は、経団連に変わって政府が主導となって就職・採用活動のルールの見直しや「新卒一括採用」のあり方について議論される方針です。

 

採用活動のグローバル化や多様化が進む中で、企業と学生が混乱しないよう適切なルール作りが求められます。