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病気の治療と仕事の両立の状況は?

医療技術の進歩により、病気になっても職場に復帰し、治療を行いながら働き続ける方が多くなってきました。

 

今回は、「病気の治療と仕事の両立に関する実態調査(WEB患者調査)」(労働政策研究・研修機構)の結果から、気になるポイントを見てみましょう。

 

 

独立行政法人労働政策研究・研修機構>調査シリーズNo.180病気の治療と仕事の両立に関する実態調査(WEB患者調査)

http://www.jil.go.jp/institute/research/2018/180.html

 


主な疾患と通院頻度

主な疾患は、糖尿病(34.3%)、がん(19.8%)、難病(17.6%)、心疾患(15.9%)、脳血管疾患(6.3%)、肝炎(6.0%)となっています。

 

通院頻度(疾患罹患後から1年間の平均)は、どの疾患も「月1回程度」の割合が最も高く、「3カ月に1回程度」と続きます。

 

休暇・休職期間

治療・療養を行うための連続2週間以上の休暇または休職については、「取得した」(30.9%)、「取得していない」(51.9%)、「そもそも休職制度がない・適用されない」(17.2%)となっています。

 

取得したとする割合が高い疾患は、脳血管疾患(56.9%)、がん(53.5%)などでしたが、一方で糖尿病(14.0%)は他の疾患に比べて低くなっています。

 

休職期間は、「1カ月程度」(31.5%)、「2週間程度」(26.3%)、「2カ月程度」(13.6%)、「3カ月程度」(9.4%)などとなっています。3カ月以下の合計は80.8%となっています。

 

退職状況

疾患罹患後において、「現在も同じ勤め先で勤務を続けている」(78.3%)方が多くいる一方、

“仕事を続ける自信がなくなった”等の理由で「依願退職した」(14.7%)、「会社側からの退職勧奨により退職した」(3.6%)、「解雇された」(1.7%)、「休職期間満了により退職した」(0.7%)方もいます(合計20.7%)。

 

職場で誰に相談したか

疾患に罹患した場合、職場では「所属長・上司」(63.2%)へ相談する方が最も多い一方、「勤め先には一切相談・報告しなかった」(26.9%)方もいます。

 

人事労務担当者のみならず、部門長等の立場にある方も、一定の知識を持っておくべきではないでしょうか。

 

 

これらの結果をみると、通院頻度や休職期間はイメージよりもずいぶん少ない場合が多く、勤務を続ける方も多いと感じられるのではないでしょうか。

 

会社からの情報提供(公的制度による支援や相談先についてなど)や制度整備を行うことによって、病気になった方でも力を発揮しやすい職場を作ることは、会社の魅力度アップにもつながるでしょう。