政府は、未来投資会議と経済財政諮問会議で高齢者が希望すれば原則70歳まで働ける環境整備に向けた検討を、今秋から始める方針です。
現在は高年齢者雇用安定法で原則65歳までの雇用が義務づけられていますが、同法を改正し、70歳雇用を努力目標とすることを検討するとしています。
2019年度は補助金拡充
法改正に先駆け、まず高年齢者雇用に積極的な企業への補助金を拡充するとしています。
来年度予算案で高齢者の中途採用を初めて実施した企業への補助金を拡充し、「トライアル雇用」から始められるようにすることで企業に高齢者雇用への取組みを促す方針です。
賃金大幅ダウン避ける仕組みも検討
内閣府の「平成29年版高齢社会白書」によれば、現在仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」と回答しており、「70歳くらいまで」が約22%、「75歳くらいまで」が11.4%、「80歳くらいまで」が4.4%と、全体の8割近い人が高齢期にも高い就業意欲を持っています。
しかし、現在は定年後に継続して働く場合でも高年齢者雇用給付や在職老齢年金との兼合いで大幅に賃金がダウンする仕組みとなっています。
このため、働く意欲や能力のある人の賃金が大幅に下がらないようにするため、評価・報酬体系を官民で見直すとしています。
公的年金を70歳以降に受給開始できるようにすることも検討される予定で、70歳超から年金を受け取る場合には受取額を大幅に加算する案も出ています。
現状は「再雇用」が8割
ただし、企業における現在の高齢者雇用は、定年を65歳まで延長している企業が17%、定年廃止は2.6%で、約8割が「再雇用」です。
政府は、高齢者雇用で成功している企業を参考に、今秋以降、経済界などとも慎重に協議を進めるとしています。