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従業員の健康情報取扱規程の策定が必要になります

働き方改革法成立を受け、主に労働時間に関する改正が話題になっています。

 

しかし、この法律によって変わるのはそれだけではありません。

 

労働安全衛生法改正により産業医や産業保健機能の強化がなされ、労働基準法改正による長時間労働抑制と両輪となって労働者の健康確保が図られるようになるのです。

 

厚生労働省>「働き方改革」の実現に向けて

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

 

具体的には、労働安全衛生法に第104条として「心身の状態に関する情報の取扱い」という規定が新設され、会社に従業員の健康情報取扱規程策定が義務づけられます。

 


規程の内容等は指針で明らかに

厚生労働省の労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会では、4月下旬から事業場内における健康情報の取扱いルールに関する議論を行い、7月25日に指針案を示しました。

 

案では、個人情報保護法の定めに基づき、事業場の実情を考慮して、

  1. 情報を必要な範囲において正確・最新に保つための措置、
  2. 情報の漏えい、紛失、改ざん等の防止のための措置、
  3. 保管の必要がなくなった情報の適切な消去等、

について適正に運用する必要があるとして、規定すべき事項を9つ示しています。

 

  • 健康情報の取扱いの使用目的及び取扱い方法
  • 健康情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う健康情報の範囲
  • 健康情報の取扱いの使用目的等の通知方法及び本人同意の取得方法
  • 健康情報の適正管理
  • 健康情報の開示、訂正等及び利用停止等の方法(消去に関するものを含む。)
  • 健康情報の第三者提供
  • 事業承継、組織変更に伴う情報の引継ぎに関する事項
  • 健康情報の取扱いに関する苦情の処理
  • 事業場ごとのルールの労働者への周知の方法

 

厚生労働省>労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou_546170.html

 

 

衛生委員会等での策定が必要

指針案によれば、「取扱規程の策定に当たっては、衛生委員会等を活用して労使関与の下で検討し、策定したものを労働者と共有することが必要」としています。

 

共有の仕方については、「就業規則その他の社内規程等により定め、当該文書を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける、イントラネットに掲載を行う等により周知する方法が考えられる」としています。

 

なお、衛生委員会等の設置義務のない事業場については、「関係労働者の意見を聴く機会を活用する等、労働者の意見を聴いた上で取扱規程を策定し、労働者に共有することが必要」としています。

 

平成31年4月1日までに準備を進めましょう

この健康情報取扱規程策定義務については、平成31年4月1日施行と、比較的準備期間に余裕がありますが、その分見落としがちとも言えます。

 

心配だという場合は、その他の改正と併せて行う就業規則等の見直しと一緒に準備を進められないか、専門家に相談してみるのもよいでしょう。