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加速する「副業・兼業」容認

いわゆる「多様な働き方」の1つに、「副業・兼業」(複数の企業と労働契約を結ぶ働き方)があります。

 

今年6月、この副業にまつわる動きが2つありました。

 


副業する人の労災問題、議論開始

1つめは、厚生労働省の労働政策審議会が、副業する就業者の労災について議論を開始したことです。

 

その主な論点は以下の2点です。

  • 労災保険給付
    本業先・副業先の賃金の合算分を基にした給付額とするかどうか

  • 労災認定
    本業先・副業先の業務上の負荷(労働時間等)を合わせて業務起因性の判断するかどうか

労災は、副業を容認するにあたり、どの企業も直面しうる問題です。議論の経過が注目されるところです。

 

国家公務員の副業も容認へ

2つめは、国家公務員の副業が一部容認されることです。

 

6月15日に閣議決定された「未来投資戦略2018」において、「国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める」と明記されました。

 

ここでいう「公益的活動等」とは、特定非営利法人(NPO)等による、環境保護、教育、地方活性化等の仕事を指します。

 

従来、国家公務員は国家公務員法や通達により、「職務に支障が出ない活動」(大学の教員、本の執筆等)しか認められていませんでした。同様に地方公務員も、神戸市や生駒市等、認めてられている例はごく一部でした。

 

今回の方針決定により、公務員が副業を行うことも一般化していくかもしれません。

 

副業容認は制限とセットで

報道によれば、副業をしようとする国家公務員は、各省庁の人事担当者に届け出る必要があります。

 

また、「副業は休日に行う」「長時間労働にならない」「副業先が政府と利害関係のある団体ではない」といった制限が設けられる見込みです。

 

厚生労働省「モデル就業規則」最新版(今年1月公表)においても、「労務提供上の支障がある場合」や「企業の利益を害する場合」等には、会社は副業を禁止または制限できると規定されています。

 

企業が副業を許可制・届出制とするにあたっては、上記のような制限を就業規則に規定しておくことが重要です。