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国民年金納付率66.3%に

国民年金保険料を納める必要があるのは、自営業者、学生等の第1号被保険者ですが、その動向を見ると、厚生年金保険(民間会社の)被保険者数の増加に伴い、平成29年度末で1,505万人と、前年度末と比べ70万人減少しています。

 


国民年金被保険者の動向

この5年間で見ると、約360万人の減少です。

これは、日本年金機構が厚生年金への加入を企業に促していることや、厚生年金の適用対象をパートら短時間労働者にも広げたことで、厚生年金に移る人が増加したことが原因です。

 

第1号被保険者の資格を取得した人の内訳を見ると、

最も多いのが第2号被保険者からの移行者、次いで第3号被保険者からの移行者、20歳到達者と続きます。

 

なお、平成29年度末の第1号被保険者の年齢構成をみると、

20~24歳の全体に占める割合が22.1%と最も大きく、次に55~59歳が13.1%となっています。

 

保険料納付率は66.3%

平成29年度中に納付された現年度分保険料についてみると、納付率は66.3%となり、前年度の65.0%から1.3ポイントの上昇となりました。過去最低の58.6%だった平成23年度以降、6年連続の上昇となりましたが、依然として高いとはいえない水準です。

 

保険料納付率とは、自営業者など国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)が保険料を納めるべき月数に対し、実際に支払われた月数の割合です。ただし、低所得者や学生が支払いを免除・猶予された分は除いています。

納付率はすべての年齢階級で前年度を上回りました。

 

若い世代ほど低い傾向は続いており、年齢別では25~29歳が54.87%で最低、55~59歳が76.28%で最高でした。

 

また、納付期限から2年以内に後払いされた分も含めた平成27年度の最終納付率は73.1%。統計がある平成14年度からの間で最高でした。

 

保険料納付率を上昇させるための取組み

政府は、保険料を納めやすい環境の整備に努めてきました。

 

平成17年度以降の具体的な取組みとしては、

  • 口座振替割引制度
  • 任意加入者の口座振替の原則化
  • 口座振替による2年全納制度の導入
  • クレジットカード納付の導入
  • コンビニ納付の導入
  • インターネット納付の導入
  • 現金およびクレジットカードでの2年前納制度の導入

があります。

 

それら納付方法の多様化に加え、未納者からの徴収の強化も納付率拡大の一因です。

日本年金機構は平成29年度、強制徴収の対象者をそれまでの「年間所得350万円以上」から「300万円以上」に拡大しました。督促状を延べ6万6,270人に送り、それでも納めない1万4,344人については銀行口座などの財産を差し押さえるなど、前年度よりも強制徴収が増えています。