流通業などの労働組合でつくるUAゼンセンの5万人を対象にした調査で、業務中に客からの迷惑行為に遭遇したと答えた人が、全体で6割超という結果が出ています。
特に多かったのが「百貨店」84.5%、「家電関連」82.9%で、購入判断が慎重になりやすい高額商品や詳細な商品説明を求められる商品を扱うため、接客時間が長くなり苦情が発生しやすくなると見られています。
業務の支障にもなる迷惑行為
迷惑行為には暴力や不当な要求、悪質なクレームなどがありますが、従業員が謝り続けてやり過ごすケースが大半といわれます。
何時間も謝り続けるなど対応に時間を取られ、他の客への販売チャンスを逃がすなど業務に支障をきたすケースもありますが、これと言った予防策がないのが現状です。
遭遇した従業員には精神疾患になった人もいて、厚生労働省の有識者検討会が3月にまとめた報告書では、客や取引先の迷惑行為について実態調査や対策に向けた議論を進める必要性が盛り込まれました。
会社はどうすればよいか?
悪質クレーム対策に詳しい深澤直之弁護士は、典型的な行為を具体的に示して「クレーマーを会社で認定する」、それでも遭遇したら「態度を急変させて、毅然として対応する」、を対応策として示します。これだけでおよそ7割の人がクレーム行為をやめるそうです。
電話の通話内容録音も効果的
同弁護士は、「しかるべき機関に相談します」「録音します」と伝えるのも有効とします。
通信各社では自動的に電話の通話内容を録音し、会社のサーバにデータを送信するサービスを提供しています。固定電話だけでなく、携帯電話向けサービスもあります。
利用料金は各社で異なりますが、録音装置の設置不要、特別な操作なしに通話開始直後に録音を知らせる音声ガイダンスが流れて通話内容を自動的に録音し、通話終了後データが送信されるのが一般的です。
クレーム対応だけでなく、サービス向上や研修に活かすなどの利用方法もあるとして、導入する会社が増えています。