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「ひきこもり」の人の就労支援の現状

内閣府が2016年に実施した調査によると、15~39歳でひきこもりの状態にある人が全国で約54万1,000人いると推計されています。ひきこもりの期間は長期化し、平均年齢も32.7歳と上昇しています。

 

また、ひきこもりの状態にある人が40、50代になると親も高齢のため収入がなくなり、やがて介護も必要となり、一家が孤立、困窮するという「8050(80代の親と50代の子)問題」が顕在化してきています。

 

そのため、今後政府は、40~59歳の中高年のひきこもりだけでなく、その家族を含めた生活実態や健康状態の把握の調査を行うとしています。

 


就労に向け訪問支援等を強化

そこで、厚生労働省は今年度から、生活困窮者自立支援制度との連携を強化し、自治体単位で実施する就労準備支援事業の充実や、ひきこもり地域支援センターのバックアップ機能の強化を図るとしています。

 

具体的には、家族からの相談を受けた後に、担当者がひきこもりの状態にある人を定期的に訪問し、他人とのふれあいや外出に慣れてもらった上で、就労体験などへの参加を促す取組みを始めています。

 

また、ひきこもり支援に携わる人材(ひきこもりサポーター)の養成を強化するとしています。

 

当事者に合った継続的な支援が必要

現在、ひきこもりの状態にある人の就労支援は、ハローワークや地域支援センター等の国や県が運営する公的なものから民間団体・個人まで、支援の内容も対象も様々です。

 

一方で、高額の料金を取って当事者を支援する悪徳な企業や団体も増えています。

 

今後、ひきこもりの状態にある人の平均年齢が上がり、その家族の貧困が懸念されます。

 

当事者に合った支援や戸別訪問等を継続的に行っていくことで早期の自立、就職につながる環境が整備されることが期待されます。