65歳未満で発症した認知症を「若年性認知症」と呼びます。有名なアルツハイマー型だけではなく、脳血管の障害や頭部外傷によっても発症したり、その原因は多様です。
働き盛りの現役世代が認知症を発症すると、仕事に影響を及ぼし、会社を辞めることになった場合には、経済的困難に直面し、生活設計が崩れるなど大きな影響があります。
若年性認知症について、企業と団体を対象に実施したアンケート調査(認知症介護研究・研修大府センター;2017年)の結果から、次のようなことが明らかになりました。
認知症介護情報ネットワーク
発見の経緯は職場での受診勧奨が最多
会社が若年性認知症の人を把握した経緯として「会社からの受診勧奨」が最も多くなっています(約5割)。
その他は、「本人からの相談・申告」が約4割、「家族からの相談・申告」が約1割となっています。
企業等に勤めている人では、家庭よりも職場での気づきが重要なようです。
会社としての対応状況
会社の対応としては、約6割で「他の業務・作業に変更した」としており、配置転換による就労継続を図っています。次いで、「労働時間の短縮・時間外労働削減」、「管理職業務からの変更」が行われています。
報酬・雇用については、「作業能力低下でも報酬を維持した」が最も多く6割以上となっており、本人の会社に対するそれまでの貢献を考慮している会社が多くなっています。
一方で、症状の進行状況によっては合意退職も行われているようです。
対応の検討が必要
最近では、障害者雇用については認知度が高まっているようですが、それは身体障害に偏っているようです。
若年性認知症の人の多くは精神障害者保健福祉手帳を取得していることから、身体以外の障害についても一層の理解が求められるとともに、会社としての適切な対応についても理解を深めることが必要でしょう。
若年性認知症は早期発見・早期治療が重要とされています。貴重な人材に力を発揮し続けてもらうためにも、受診勧奨、休職・復職、職務変更に関する規定の整備や相談先に関する情報提供など、該当する従業員が現れた場合に会社が適切な対応を取れるよう、検討しておく必要があるでしょう。