今年は、希望のタイミングで引っ越しができない「引っ越し難民」が発生しているという報道が続いています。
もともと3~4月は、会社の転勤や学校の新学期に伴う異動期であり、年間引っ越し件数の3分の1が集中する繁忙期ですが、特に今年は人手不足や働き方改革による業界の営業時間短縮の影響もあって、引っ越し業者が確保できない事態となっているようです。
ここでは、従業員の住居と職場の距離について考えてみましょう。
通勤時間は片道40~50分
NHKが5年ごとに行っている「国民生活時間調査」によれば、2015年の平均通勤時間(往復)は1時間19分で、1995年からほぼ変わっていません。
都市規模別では東京が最も長く、1時間42分となっています。
従業員が職場の近くに住んでくれるメリット
従業員の立場では、必ずしも職場の近くに住みたいとは限りませんが、会社としては、従業員が事業所の近くに住んでくれたほうが喜ばしいものです。
長時間通勤で疲弊することなく業務で力を発揮できる、通勤手当が低額、緊急の業務や自然災害時の出退勤が容易、といったメリットがあるからです。
「近距離手当」を活用する企業
居住地をどこにするかは、言うまでもなく各従業員が自由に決定すべきことであり、会社は一切の強制をしてはなりません。その代わり、職場の近くに住む従業員に「近距離手当」を支給することで、自発的に職場の近くに引っ越してもらうという方法があります。
「半径○km以内」や「本社最寄り駅から○駅以内」に住む者に対し「月額○万円支給」という形式が典型的で、クックパッド、サイバーエージェントほか様々な企業が採用しています。
引っ越し手当と注意点
似たような趣旨で「職場の近距離への引っ越し費用を補助する」という手当もあり、ロコンドやグリーなどが採用しています。
ただし、今年のように引っ越し業者の確保すらままならない場合、引っ越し費用が思わぬ高額となる恐れもあります。
手当の不正受給を防ぐためにも、「○回まで」「○万円まで」など上限を必ず規定することが重要です。