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政府が推進する「リカレント教育」とは?

政府は、人づくり改革を議論する有識者会議「人生100年時代構想会議」において、「リカレント教育(学び直し)」の重要性を強調し、大学や企業、地域による教育プログラムの開発などを進めるように求めました。

 

リカレント教育の推進の目的は、IT・AI化の加速により、出産・育児で退職した女性や定年退職した高齢者らが最新の技術を学び、生産性向上につなげることです。

 

政府は昨年末、2019年以降に約5,000億円の予算をリカレント教育に投入する方針を固め、その充実を図ることとしています。

 


各国の取組みは?

リカレント教育とは、リカレント(recurrent)を回帰する、循環すると訳すことから、いったん社会に出た後に必要に応じて再び教育を受ける教育体制ことを意味します。1970年代に経済協力開発機構(OECD)によって提唱され、国際的に広く認知されるようになりました。

 

スウェーデンでは、キャリアを一旦中断して数年間、フルタイムで学生として教育を受ける仕組みが整っています。また、アメリカでは、コミュニティ・カレッジという公立の2年制の大学で、安い値段で大学教育と職業訓練を提供しています。夕方や夜間、土日も開講しており、働きながら通うことが可能です。

 

日本の現状は?

日本では、かつて終身雇用が慣例となっていたため、リカレント教育の必要性が重視されていませんでした。

 

しかし近年、社会人入試の実施、夜間大学院の設置、また、放送大学の活用やカルチャーセンターや通信教育、企業の教育訓練が充実し、働きながら学べる環境が整ってきています。

 

政府の方針に期待

政府は昨年末、2019年以降に約5,000億円の予算をリカレント教育に投入する方針を固め、その充実を図ることとしています。

 

また、今年1月には、雇用保険法の改正により、専門実践教育訓練給付金が拡充され、支給率、上限額、支給対象者の要件が変わり、教育訓練支援給付金の支給率が引き上げられました。

 

今後、人口の減少が進んでいく中、女性や高齢者だけでなく働き手個人のスキルアップより労働力を向上させることが課題となっており、リカレント教育のニーズも高まっています。

 

政府の提言により、リカレント教育の環境が整備されていくことが期待されます。